ジャパニーズティーセレモニーを気軽に愉しむ
「伊藤園では2001年からNYを拠点に北米に進出しています。ベンチャー企業などで職場の冷蔵庫に無料の飲料を置いたりしますね。そこにぺットボトルの『お~いお茶』が入り始め、このグリーンでヘルシーなドリンクはなんだ?と。しかも飲むと頭がスッキリするぞ(笑)と、緑茶がエナジードリンクのように認知されはじめているようです。
そこで、日本茶があまり日常的ではない人たち、特に若者やインバウンドのお客様に向けて、日本茶に関心を持ってもらいたいという目的で『ocha room ashita ITOEN』をオープンしました。日本茶にまつわる文化や情報を発信したり、日本茶の新しい楽しみ方や接点を提案することで、世界中に日本茶ファンを増やすことを目指しています」と(株)伊藤園の広報部山口愛一郎さん。
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店舗はカジュアルなカフェの雰囲気ですが、お茶会用の上質な抹茶や茶筅、茶碗など、お点前の道具を買うこともできます。
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さらに、お抹茶を自分で点てて味わうことができます。海外から遊びにきたお友だちを連れて行くと、気軽な茶道の体験として喜ばれそうです。
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抹茶は三種類から選べるようになっています。濃厚な旨みと甘い香り立ちが特徴の「万暦の昔(税込1,430円)、強い旨みとほどよい苦みのバランスがよい「宝尽の白(税込1,210円)」、すっきりとした味わいのお薄茶「霧の音(税込880円)」。抹茶の味の違いを飲み比べてみるという機会は、茶道を習っていてもなかなかないのではないでしょうか?
また、利き茶の体験も可能です。さまざまな種類のお茶の味をホットとアイスの両方を注文して飲み比べすることができます。同じ茶葉でも、お湯と冷水では沁み出てくる味わいがまったく異なるのだそう。
「最近では家で飲む日本茶もペットボトルを買うか、ティーバッグで入れる人が増えていて、家に急須がない、自分でお茶を入れたことがないという若い人もいます。お茶にも種類があり、こんなにもいろいろな味わいがあるのだということを、まずは知っていただきたいですね」と山口さん。
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「ocha room ashita ITOEN」には、濃厚で強い旨みを誇る福岡県産の玉露「八女玉露(税込1,210円)」を筆頭に、緑鮮やかな色と旨みが特徴の「ほれぼれ(税込880円)」、上品な香りとコクのある味わいの「天竜茶(税込880円)」など、温かい日本茶のメニューが全6種類。また冷茶は5種類(すべて税込880円)が揃います。
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上質な茶葉を選び、急須でいれたお茶を白い器に注ぎ、色や香りも愛でながらゆっくりと味わう。ジャパニーズティーセレモニーを愉しんでいる欧米旅行者の姿に、お茶との豊かな時間の過ごし方を、私たちもあらためて教えられるようでした。
コラム
今さら聞けないお茶の違い
煎茶とは?
日本で最も多く生産され、よく飲まれているのが煎茶です。
4月と5月に一番茶を摘み取り、茶葉を40秒ほど蒸して作るお茶。
玉露とは?
太陽光を20日間以上遮って新芽を育て、最初に収穫される一番茶で作られた茶のこと。光を遮ることで緑色が鮮やかに、旨味成分の「テアニン」が増加し、渋味成分「カテキン」が減って渋みが少ないお茶になります。
番茶とは?
二番茶以降に摘まれるお茶です。一番茶ほど緑色が鮮やかではなく、太陽を浴びてカテキンが増え、渋みが増します。
*地域により番茶の定義は異なります。
抹茶とは?
玉露と同じように茶摘みの20日ほど前から日光を遮断して緑を濃くした一番茶の葉の部分のみを、臼で挽いて粉末にしたものです。鎌倉時代に宋から伝わったものですが、現在の中国には存在せず、抹茶は日本の食文化として世界に広まっています。
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※この記事は2020年1月30日時点での取材による情報です。