羊フェスタで世界の羊料理を知る
2019年は羊の文明開化って?!
数年前に一時ジンギスカンブームがありましたが、その他に知っている羊肉の料理といえば、「ラムチョップならたまには食べるけど...」という程度。羊肉を取り扱っているスーパーも限られているのが、これまでの印象ではないでしょうか。
ところが2016年から2018年にかけてのわずか2年で、羊肉の輸入総量は約1.4倍になっているそう(財務省貿易統計)。これはいよいよ羊食文化の開国目前か...ということで、羊料理を愛する消費者集団「羊囓協会」代表の菊池一弘氏にお話を伺いました。
「日本では羊肉は99.9%輸入しており、日本では1万7000頭くらいしか畜産されていないんです。羊肉は関税率が0%なので、国産羊はごく希少になってしまいました」(菊池氏)
現在、日本で食べられる羊肉の60%はオーストラリア産。次がニュージーランド産で、近年はアイスランドやアメリカ、アルゼンチンなども加わって、多様化しています。しかも2019年は英国からの牛と羊が輸入開始され、ウエールズ産ラム肉も日本に上陸。このような原産国の広がりにちなんで、今年は「羊の開国宣言、羊の文明開化」をテーマに、羊フェスタが開催されたのです。
同じラムチョップでも原産国による肉の味の違い、それぞれの国の伝統的ソースの違いなど、食べ比べを楽しむことができた企画でした。
東京の羊料理の名店に出合う
羊フェスタ2019では、東京でお店を開いている各国料理のレストランも多数出店し、バラエティ豊かな羊料理が提供されました。たとえば「アイリッシュシチュー」。羊肉とジャガイモの煮込みで小麦粉のルーは使わない、どちらかというとシンプルな塩味の肉じゃがのような料理です。
また、北海道のキャラクター「成吉思汗(ジンギスカン)のジンくん」のグッズや、愛知県の羊毛織物産業のまち、一宮市の「尾州138ひつじカレー」など、地域おこしの物販ブースもありました。
一方、アジア各国料理店も負けてはいません。羊は食用としての歴史が長いうえ、宗教上のタブーが少ないことから、非常にポピュラーな食材なのです。
日本橋などにあるパキスタン料理のレストラン ナワブのブースでは、羊肉入りサモサやキーマカレーのほか、羊入りチョーメン(焼きそば風)、パキスタン名物のタカタク(羊のモツ入り鉄板焼き)など、初めてきくメニューが盛りだくさん。また中国料理店のブースでは、中国の西北地方や東北地方(旧満州)の、大陸らしい豪快な羊の煮込み料理が出ていました。羊の肉からダシがしっかり出るため、火鍋もよく食べられているのだそうです。
※この記事は2019年11月28日時点での取材による情報です。