忠実に再現されたロビーに感嘆
建物の老朽化と2020年の東京オリンピックに向けた再開発計画が持ち上がり、惜しまれながら旧本館が取り壊されてから4年。どのように生まれかわったのか、ここからは新しく誕生した〈The Okura Tokyo〉の内部を見ていきましょう。
地上41階建ての〈オークラプレステージタワー〉と地上17階建ての〈オークラヘリテージウイング〉の2棟からなります。かつての本館ロビーを知る人にとって必見の空間は、〈オークラプレステージタワー〉の5階。モダンなガラス張りのビル外観とのギャップに思わず息を呑むほどの、平安の大空間が広がっていました。
日本の美の原点を藤原時代(平安時代の中〜後期)に見いだし、随所にその伝統的意匠を取り入れたホテルオークラ旧本館は、かつて世界中のクリエイターたちを刺激し、「和の様式とモダニズムを融合した傑作」と言わしめました。かつてのロビーを設計したのは谷口吉郎氏でしたが、今回はその息子である谷口吉生氏の手によって、忠実な復元と新しいデザインとの融合が行われました。
〈オークラプレステージタワー〉ロビー
かつての面積より2割ほど広くなった新しい本館ロビー。天井から下がるのはオークラの代名詞、「オークラ・ランターン」です。これは切子玉型といい、古墳時代の飾り玉をモチーフとした意匠です。テーブルと椅子は、上から見ると梅の花の形になるよう配置されています。
オークラサロン
〈オークラ プレステージタワー〉のメザニン(中2階)には、会員向けの応接スペースがあります。御簾の中から外を眺める貴族になったような気分で、水鏡や大倉集古館の景観を望むことができます。
〈オークラ ヘリテージウイング〉5Fロビー
一方、日本の美意識を極めた迎賓館であり、よりプライベートな"離れ"として建てられたのが〈オークラ ヘリテージウイング〉です。ロビーにはかつての「平安の間」の壁面装飾が移設され、まるで美術館のような静謐な空間となっています。京都西本願寺に伝わる国宝、平安時代の和歌帖『三十六人家集』を手本とした壁面装飾です。
客室(一例)
〈オークラ ヘリテージウイング〉の客室は6F〜17Fに全140室。ルームチェックインやコンシェルジュサービスを標準として、世界の賓客を迎えます。
標準客室面積は約60m²と都内屈指の広さを誇り、全室ミストサウナも備えています。
一方、大規模な国際会議などに対応できる大宴会場も備えているのが〈オークラ プレステージタワー〉。客室は28階~40階に位置し全368室。都心の眺望を存分に楽しめるモダンでラグジュアリーな空間です。標準客室面積は約50m²のツインから、日本最大の客室(約730m²)のインペリアルスイートまであります。
日本料理 山里
〈オークラ ヘリテージウイング〉の4階は、谷口吉生が内装を手がけた初の飲食店、オークラ庭園を借景とした、和の空間が広がる日本料理「山里」。従来はなかった寿司カウンターや割烹カウンターも設置されました。
オーキッド
〈The Okura Tokyo〉にはレストラン・バーが全部で7つ。なかでも〈オークラ プレステージタワー〉5階の「オーキッド」はシェフやパティシエ、バリスタの動きが見えるライブキッチンを導入、土日祝限定でブッフェランチ&ディナーが楽しめます。また同じ5階には、伝統と格式のメインバー「オーキッドバー」も復活しています。
バーラウンジ・スターライト
〈オークラ プレステージタワー〉の41階トップフロアには、エレガントなバーラウンジが誕生。国際都市・東京の躍動感を感じる眺望とともに、世界の銘酒と多彩な美食が楽しめます。
このほか、地上188mのトップフロアには「スカイチャペル」が誕生し、天空の挙式場として話題に。会員制のフィットネス&スパ「Okura Fitness & Spa」の、27階のプールはホテルとしては最大規模の25m×5レーンを有しています。また、サントリーホールや歌舞伎座と提携したイベントや、少人数制でチーフソムリエからワインを学べる「オークラワインアカデミー」も定期的に開催されています。
さて、皆さんはどの入口から新しい〈The Okura Tokyo〉を体験したいですか?
Information
The Okura Tokyo
所 在 地:東京都港区虎ノ門2-10-4
電話番号:03 3582 0111(代表)
※この記事は2019年10月31日時点での取材による情報です。