座りすぎが寿命を縮める?!
「日本人の座りすぎ問題」に警鐘を鳴らしている第一人者は、早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授。教授は著書の中で、シドニー大学の研究者が世界20ヶ国22万人を対象に「平日座っている時間」を調査したところ、日本人の平均座位時間は約420分(約7時間)で、最長だったという結果を紹介しています。
世界20カ国の平日の座位時間(2011年シドニー大学などの調査)
「日本人を対象にした研究では、1日8時間以上の座位行動は男性の総死亡やがん死亡リスクをあげることがわかっています」(岡教授)。
座っていると脚の筋肉をほとんど動かしておらず、"第二の心臓"と言われるふくらはぎの活動は停止状態です。言いかえれば、下半身に下りた血液を心臓に押し戻すポンプの働きが停止して、全身に酸素や栄養を送る血流が滞ってしまうのだそう。
いわゆるドロドロ血と言われる状態になって血栓ができやすくなる「エコノミー症候群」は、自宅やオフィスでの座りすぎでもありえるというわけです。
また、ふくらはぎだけではなく、太ももにも重要な役割があります。体のなかで最も大きい太ももの筋肉(大腿四頭筋)が活動停止していると、糖の代謝機能や脂肪を分解する酵素の活性が下がり、肥満や糖尿病になりやすくなるといいます。
じっと立っているだけでも、太ももで自然と重心移動を行っているため、代謝アップにつながっています。また、曲がったままだった足の付け根の鼠径部(そけいぶ)が、立つと解放され、血液やリンパの流れもよくなります。「立つ」というだけで、全身の血液循環が動き出すのだそうです。
「私たちは起きている時間の約60%を、座位や臥位で過ごしています。いわゆる運動(中高強度身体活動)時間は5%、家事など低強度身体活動は35%。代謝機能を高めるためには、低い強度の身体運動で十分で、それが"立つ"ということなのです」(岡教授)。
「座りすぎ」を克服するには
では、実際にどうやって「座りすぎ」を予防するのでしょうか。
まずは、自宅でできる簡単なケアをご紹介いたします。
3Dフットケアというもので、「第二の心臓」であるふくらはぎを温めて、全身の血行を良くするものです。
特に女性からの人気も高く、冷え性対策などに効果が期待できそうです。
ちなみにメンタリストとして活躍するDaigoさんも「僕は食事するとき以外座ることはありません」とブログで公言しています。
「テキサス大学の研究で、1日に1時間36分立って仕事をするだけで、生産性が46%も上がったという研究結果も出ています。(中略)ただし、最初の1ヶ月はほとんど差はなく、2ヶ月目以降にどんどん差が現れてきました。半年続けると参加者の75%が肩こりや腰痛というような体の痛みや不快感も減少したということです」
また、日本人が「座りすぎ」だという問題の原因は、きっと「長時間オフィスに座って仕事をしているから?」ではないでしょうか。
最近では、「立って仕事をする」ために、オフィス環境を整えている企業が増えています。
さて、いったいどんな工夫をしているのでしょうか。
次からは、「立って仕事をする」ための、最新のオフィスファニチャーをご紹介いたします。
※この記事は2019年9月26日時点での取材による情報です。