いよいよ収穫!稲刈り体験
5月に植えた在来品種コシヒカリは、9月上旬から10月上旬が刈取り時期です。実が黄金色に色づき、ぷっくりと膨らんできた頃が刈時です。実が大きくなってくると、稲全体が頭を垂れてきますが、その時に台風や大雨になって根が根元から折れて水に浸ってしまうと、元にもどらなくなってしまうため、天気予報を見ながら慎重に稲刈りの日を決定します。10月某日、約5か月ぶりににいがた農園倶楽部の管理する棚田を訪れました。
立派に実ってくれました!自分たちで植えた稲が無事に育ったことへの感動と、ここまで手をかけてくれたにいがた農園倶楽部のスタッフさんへの感謝で胸がいっぱいになります。ここから、待ちに待った収穫作業を開始します。本来はコンバインで刈り取るのだそうですが、プログラムでは昔ながらの手刈りで刈っていきます。この日も深見さんにコツを教えていただきました。「コツは8株程度をひとまとめにし、藁(わら)で縛って、鎌の刃全体を使って引くことです。」(深見さん)
稲を束ねることを、新潟の農家用語で「まるける」というのだそうですが、藁がほどけないように固定するのが何とも難しいのです。束ねた稲はハサと呼ばれる竹で作った棚にハサ掛けして、天日干しします。
「天日干しは10日間ほど行います。その後水分を確認して水分量が多い場合には乾燥機で乾燥させた後に籾摺り(もみすり)→精米→目視による選別をして計量→出荷していきます。」(深見さん)
刈取りから食卓に上がるまで、2週間程度かかることになります。
どんどん刈り取られていく田んぼを見ていると、何やら寂しいような気持ちになりますが、稲刈りが終わった後の田んぼはどうなるのでしょうか?「稲刈り後の田んぼは翌春まで放置して土を休ませます。棚田のある上越市は積雪が多い年で3mにもなります。雪が積もることで地熱が溜まりバクテリアが繁殖するため、肥沃な大地が育まれ、翌年の栄養分になります。雪が解けると田植えのためにトラクターで田起こしをして、土を撹拌し肥料を撒きます。」(深見さん)
また翌年のお米が美味しく育つための準備期間・・と思えば、楽しみが続きます。
希少な棚田で自分たちが関わったお米が食べられる・・という、「棚田オーナー制度」。オーナー契約の申込は毎年10月から翌年4月まで受け付けています。国産の美味しいお米を確保できる点に加えて、家庭での食育やお世話になった方へのお中元・お歳暮にお贈りしたり、寄付として利用するなど、様々な使い途ができる点も魅力です。
農業体験を終えて
体験を通して強く感じたのは、自分たちで手をかけたからこそ感じる愛着と作り手の方の顔が見えるからこその感謝の気持ちでした。事前に予備知識として、棚田は等高線上に切り開かれていることから歪な形をしており、機械作業だけでは完結できないこと、手作業による効率性の悪さ、生産性の低さが、棚田の減少そのものの原因になっていると知っていましたが、実際に農作業を体験することで大変な時間と労力がかかることを実感しました。
とはいえ、棚田米には平地の田んぼで作ったお米にはない、沢山の魅力があることがわかりました。深見さんは棚田米の美味しさの秘訣について、こう語っておられました。「一番は水です。普通に作られる平地のお米は川や農業用水路から田んぼに水を引くため生活排水等が混じり、癖のあるお米になりがちですが、棚田では湧水と雨水といった、いわゆる「天水」でつくりますので、甘味のある美味しいお米が作られます。」「本当に美味しいお米」と太鼓判を押された棚田米の配送まで、あと少し。楽しみでなりません。
Information
にいがた農園倶楽部
URL:http://nouen-club.jp/