紅茶の産地と特徴を知る
これまでココジカで特集してきた通りチョコレートやコーヒーには、いまや産地別・品種別に、繊細な個性の違いを味わうという楽しみ方が広まっています。そして、紅茶の世界にもいよいよ、そんな時代がやってきたようです。
2014年に「リプトン」のアッパーブランドとして誕生した「サー・トーマス・リプトン」は、手摘みされ、特に品質に優れた上位10%の茶葉だけを選別したプレミアムな紅茶。ティーハウスギンザはそんな特別な商品を販売しているほか、紅茶のテイスティングをサロン形式で体験できる「TEA-STING」などの講座を開講しています。
この日の「TEA-STING」の講師はエグゼクティブティーコーディネーター、山田伊津子さん。講座では、主要な紅茶の産地の特徴についてお話を伺いながら、風味の違いや食べ物とのマッチングについて、実際に飲み比べをしてきました。体験できるのは次の5種類です。
アッサム
平地で高温多雨な北インドに位置する、世界最大の紅茶の産地です。茶葉のカテキンの含有量が多く、色が濃厚で黒っぽい褐色をしており、見た目も味もコクのある印象。モルティーフレーバーと呼ばれるコク、どっしりとした渋みが特徴です。個人的にはウーロン茶と言われて飲んでもわからないくらいの味に感じました。
ダージリン
インドの北東端、ヒマラヤの山麓の、寒暖差の大きい山岳地帯で育つ茶葉は、フルーティーで芳醇な香りと、すっきりとした渋みが特徴。色は黄色がかった淡い色で、高貴な香りによって「紅茶のシャンパン」と呼ばれています。
ウバ
スリランカ南東部の高地で、オレンジ系の色が特徴。パンジェンシーと呼ばれる心地よい渋みは、ウバ茶の代名詞。ミント系のさわやかな香りも特徴で、ミルクティーに最適といわれています。
ヌワラエリヤ
スリランカ南中央部の標高1800m以上の高地でつくられます。薄いオレンジ色で、高地産ならではフローラルな甘みがあり、渋みも淡く繊細な印象。茶葉本来の持ち味を楽しむストレートティーに向いています。
ディンブラ
スリランカの山岳部の南西斜面で、高級な紅茶の産地として知られるディンブラ。インド茶に比べてバランスがとれているといわれるセイロン茶のなかでも、ブリスク(Brisk)と呼ばれる爽快感のある渋みで人気の紅茶です。
いよいよ「ティースティング」を体験
最初に、紅茶の色の違いを白い陶器のカップで確かめます。次にテイスティングスプーンですするようにして、鼻孔で香りを感じ、舌で余韻を確認するのが「テイスティング(Tasting)」。講座でははっきりと違いがわかるよう紅茶を濃い目にいれてあるので、テイスティング専用のスプーン1杯ずつで違いを確かめます。
次が「サー・トーマス・リプトン」が提案する「ティースティング(Tea-sting)」のコーナー。産地ごとの茶葉の魅力を引き出すように設計されたかたちの異なるカップを使って、紅茶の味を楽しみます。さらに、講師の山田さんからの提案でそれぞれの紅茶がどんなスイーツやフードと相性がよいかを知る「フードペアリング」も実践し、ナッツやドライフルーツを合わせながら味覚の変化を楽しみました。
コラム1:紅茶に旬ってあるの?
紅茶にもやはり「クオリティーシーズンティー」と呼ばれる旬の茶葉を求める紅茶ファンはいるそうです。たとえばダージリン地方では春・夏・秋と一年間に三回のクオリティーシーズンがありますが、同じ産地でも摘んだ季節によって、香り、味が全く異なった紅茶になるのだそう。
シーズン1:ファーストフラッシュ(春摘み)
春になり雨季に入る時期の紅茶がファースト・フラッシュです。新芽らしく他の葉より淡い色、味もクセがなく、香りも爽やかな感じがします。シルバーティップスと呼ばれる新芽のさらに先端の毛のような部位が含まれており、希少で等級の高い紅茶になります。
シーズン2:セカンドフラッシュ(夏摘み)
初夏に摘まれるセカンドフラッシュはコクがあります。 ダージリン地方のセカンドフラッシュは「マスカテル(マスカット)フレーバー」と 呼ばれる上品でほのかな甘さがあり、「味のセカンドフラッシュ」といわれています。
シーズン3:オータムナル AUTUMNAL(秋摘み)
秋に摘まれる葉は、味に独特の深みがあり、いかにも紅茶らしい紅茶ともいえるので、このオータムナル独特の渋さを好む人もいます。