話題のビーントゥバーって?
ビーントゥバー(Bean to Bar)を直訳すると、「豆から板へ」。つまり、「カカオ豆」から「板チョコ」になるまでの全工程を一貫して手掛ける製法のことを言います。チョコレートの原材料であるカカオ豆から仕入れ、選別、焙煎、粉砕、成型などの全工程を一つのメーカー・工房が行うことで、豆の状態に応じたきめ細やかな対応ができるのが特徴です。日本では高い品質と素材を生かした深い味わい・作り手を身近に感じられる温かさが話題を呼び、2010年以降から瞬く間に全国へ広がりました。
ビーントゥバーを体験してみよう
「ビーントゥバーをもっと知りたい!」ということで、銀座にあるビーントゥバーチョコレート専門店「Minimal - 銀座 Bean to Bar Stand」で定期開催されるワークショップに参加してきました。ワークショップでは、「カカオ豆からのチョコレートづくり体験」がテーマになっており、男性女性問わずチョコレート好きの方から熱い支持を受け、連日大盛況です。
Minimalは日本でビーントゥバーチョコレートをいち早く広めたメーカーで、「インターナショナルチョコレートアワード2017」の世界大会で、香料を用いない板チョコレート「Dark plain/origin bars」部門で日本初の金賞を受賞し、世界最高峰のチョコレートメーカーのひとつと認められています。そんな、Minimalのこだわりのチョコレートを贅沢にも試食させていただきながらビーントゥバーを学んできました。
ワークショップ講師
店長 亀井さん
まずは、チョコレートについて学ぼう
チョコレート作りの最初の工程として、「カカオ」の仕入れですが、どんな場所で栽培されているかご存知ですか。
カカオの生育には、南北緯度20度以内の赤道付近、最低気温が16℃を上回る暑い地域で、年間雨量が2000mm以上の高温・多湿な地域が適しているといわれています。日本では、沖縄の気候がギリギリ条件を満たしているといわれています。
店内には緯度20度以内のカカオの産地が記されたマップが展示されています。
カカオの産地として有名なガーナや赤道直下の国エクアドル、意外なことに東南アジアのインドネシア・ベトナムでもカカオが栽培されているそうです。
カカオの果実(カカオポッド)には少量の果肉と20~60個の種子が詰まっており、この種子こそがチョコレートの原料となります。果実1個につき板チョコ1枚分(カカオ70%)のチョコレートが作れるのだとか。
果実から取り出した種子・果肉をバナナの葉などで覆って1週間ほど発酵させ、焙煎後に皮を除いてフレーク状に砕きます。この状態を「カカオニブ」と言います。
Minimalのワークショップでは焙煎後のカカオの殻剥きからチョコレートづくりを行います。
コラム:カカオニブの効能
欧米ではスーパーフードとしてメジャーな存在。特にアンチエイジングに最適な栄養素が含まれています。
いまや大型スーパーやネット通販で気軽に手に入りますので、サプリメントの代わりに取り入れてみてはいかが?
ビタミンA、ビタミンC | 美肌効果(コラーゲンの生成) |
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鉄分・マグネシウム | 貧血予防 |
ポリフェノール | 抗がん作用、抗酸化作用 |
カテキン | 殺菌、虫歯予防、コレステロール値の低下 |
テオブロミン | 集中力を高め、ストレスを和らげる |
実際にチョコレートを作ってみよう
さあ、実習のスタートです。この日は特にフレイバーが異なるカカオ豆として、ハイチ産とベトナム産の2種類が用意されていました。調理後に食べ比べて風味の違いを確かめるために、ハイチグループとベトナムグループの2チームに分かれて調理します。
「ハイチ産はナッツのような味わい、ベトナム産はカシスのような酸味の強い味わいが特徴です。材料はカカオニブ、砂糖のみで、ハイチ産もベトナム産も作り方は同じです。さらに今回は、カカオ含有量71%のチョコレートをベースにして豆のひき方を変えながら2種類のチョコレートを作っていただきます。」(亀井さん)
チョコレートづくりの手順
まずは、ローストしたカカオ豆の殻を剥いていきます。
焙煎したカカオ豆は酸っぱいような強烈な香りがします。亀井さんの「食べてもいいですよ」とのお言葉に一同、恐る恐るパクリ。濃厚・ビターでカカオ本来の味わい・・・というか、とにかく「ニガイ!」です。
チョコレートと砂糖を一緒に加え※、フードプロセッサーで粉砕していきます。
※分量 71%のチョコレート:カカオニブ100g、砂糖40g
ちなみにこのフードプロセッサーは、チョコレート専用の物ではなく、「よめっこさん」という米粉を作れるプロセッサーで、インターネット通販で売られています。
1分ほど回すと、サラサラの粉末から少し湿り気のある土のような触感に変わります。
スイッチを入れながら、フードプロセッサーを左右に振るようにすると、パウダーが1か所に固まらず均等に粉砕できます。
さらに1分ほど回すと、とろみが出て、つやが出てきます。この状態で一旦口に入れてみると、固まっていないだけで、ほとんどチョコレートの味わいになっています。
本ワークショップでは、豆の粉砕の程度を変えて、1チームにつき2種類のチョコレートを作ります。
1回目はしっかり滑らかになるまで、2回目はカカオニブの食感がゴリゴリ残る程度の粗挽きに留めました。
さて、ここからは時間との勝負です!チョコレートが固まる前に型に流していきます。チョコレートに入った空気を抜くように、型を作業台に上でトントンと上下に落とすと、形が整います。
※本来は型に流す前にテンパリング(温度調整)を行いますが、ワークショップでは本工程を省略しています。
チョコレートを冷やして、20分ほどで完全に固まりました。
綺麗に固まったチョコレートを割れないようにそっと型から抜いていきます。