意外な美味しさ!みかんを丸ごといれるみかん鍋
鍋を囲む場が人の気持ちの一体感を生み出す効果は、なんとなく思っている以上に重要なもののようです。しかもそれだけではなく、料理としての鍋の味にもこだわりがあります。岡村さんが鍋奉行として活動を始めてから4年の間に、「はちみつ鍋」や「冷凍鍋(冷凍した方がおいしくなる食材を使った鍋)」といったユニークなオリジナル鍋が次々と生み出されましたが、最近のヒット作は「みかん鍋」とのこと。みかんを丸ごと数個、鍋に入れて煮込んでしまう!という衝撃的な創作鍋です。
「みかんの皮は漢方でも使われているくらい、胃腸を整えたり、冷え性を改善したり、健康にもよいものです。9号鍋ならみかんを3~4個、鍋に入れる前に皮の部分を約8分オーブンなどで焼いて、苦みのあるオイル成分を飛ばしておくことがポイントです。みかんは豚肉と相性が良く、とてもおいしいですよ」。
岡村さんの「日本一鍋プロジェクト」イベントは冬に限りません。春には、みかん果樹園で、花の香りに包まれながらのアウトドア鍋を開催したり、夏には青いみかんを使ってみかん鍋を楽しんだこともあるそうです。また、アジアンエスニック系の酸っぱ辛い鍋や、オクラやキュウリを使った「夏野菜鍋」など、夏限定の鍋料理も考案しています。
みかん鍋(豚肉バージョン)
- だし汁(※3)
- 1,500cc
- みかん
- 8個
- 豚バラ肉
- 200g
- 白菜
- 1/4個
- ニンジン
- 2本
- タマネギ
- 1個
- 水菜
- 4本
- シメジ
- 1パック
- 鷹の爪
- 1~2カケラ
<材料(4人前)>
(※3)だし汁は昆布とかつお節だしがお薦め。市販のものでも可。
1. だし汁を火にかけ沸騰させます。
2. その間にみかん4個を170度のオーブンで8分間加熱します。 170度になる前からみかんを入れて、170度になってから8分。
3. だし汁にカットした野菜を入れて強火で煮込みます。
鷹の爪を1~2カケラ入れます。
4. 野菜が食べられそうになったら、みかんを入れます。
焼いて皮ごと入れるみかんは4個程度。
これとは別に焼いたみかんの皮をむいたものを3~4個入れます。
この時点で火加減は中火にします。
(この皮をむいたみかんを入れる数が味に影響を与えるポイントですので、味を見ながら足していくとよいでしょう。)
※段々酸味が強くなるので、入れ過ぎには注意です。
5. 皮なしみかんがしんなりと汁と一体化したところで、豚肉を入れます。
豚肉は入れ過ぎると脂っぽくなるので、少しずつ入れます。
豚肉に火が通ったら食べごろです。その後は、弱火にします。
鍋奉行のみかんの愉しみ方
皮ごとみかんは豚肉に火が通ってからもしばらく食べずに、皮ごとみかんの味が出て、スープにいい感じで渋味が加わったら皮ごと食べるとおいしく召し上がれます。
コラム
古くて、新しい、鍋文化
鍋の歴史は縄文時代、土器の発明に起源を発します。 農村では、炉裏端で薪を焚きながら、火の上につるした鉄鍋で煮炊きしていた時代は長く、鍋という言葉そのものが「一つの世帯」を意味していたといわれています。この時代の鍋はあくまで調理道具であり、直箸(じかばし)で食べたりするようなことはありませんでした。
また江戸時代には、鍋といえば一人前専用の小鍋でした。家屋の密集した江戸の長屋では、すすや煙が出るのが嫌われたため、台所と食事をする場所が分離されました。かまどは火災が起きる危険性も高かったため、安全な七輪を使って煮炊きする1人用の小さな鍋が重宝されたのです。
現代のように皆で鍋から料理を取るスタイルは、江戸時代の末期から明治時代にかけて、ひとつのお皿から料理をいただく「卓袱(しっぽく)料理」と、文明開化期に大流行した「牛鍋」あたりから始まったものといわれています。調理器具も、炉端から七輪、さらに卓上コンロへと進化したことによって、今日の私たちが味わう鍋文化は確立したのですね。
初めての料理や、初めての味に出会って「おいしい!」と感じたとき、人は驚きと感動で、脳が活性化します。人間の五感のすべてを一度に刺激し、そのときに得た感覚をその場にいる人と共有できるという岡村さんの「梅鍋」「みかん鍋」。ぜひご家庭でもトライして、楽しく会話を弾ませてみてはいかがでしょう?
岡村さんが開催する「日本一鍋」プロジェクトを体験してみたいという方はこちらから。
質の高い会を行うため、少人数定員制です。
「日本一鍋」プロジェクト