カスタマイズノートが静かなブーム
スマホ1台で何でも記録できる時代となり、紙でできたノートや手帳などは減ってきていると思われがちですが、まちの文具店にはますますデザイン性の高いノートや手帳が登場してきています。システムダイアリーも定番になりましたが、どうも味気ない感じ。大切な思い出の記録場所として、またちょっとした自己表現の場として、「ノート」というパーソナルツールの地位は、じわじわ上がっている気がします。さらに、ノートを自分好みにカスタマイズできる専門店も登場。それが蔵前にある「カキモリ」です。
「カキモリ」は、老舗文具店の3代目である広瀬琢磨氏が新規事業として2010年にスタートさせました。この界隈には、昔からのノート製造工場も集まっており、カスタムノートづくりのパーツ類を発注するのに便利な場所でもありました。ツバメノートやLIFEといった伝統あるノートメーカーも近くにあり、デザイン雑貨のKONCENTも蔵前が発祥。東京下町の職人技がいまに残る、メイドインジャパンのものづくりの発信地でもあります。
20分でつくれる自分好みのオリジナルノート
さっそくノートを作ってみましょう。まず、手順を書いたトレーが手渡されます。
①表紙を選ぶ
約60種類もの表紙用パーツから、自分好みの素材を選びます。カキモリで作れるのは、手帳向きのB6サイズと、スケッチブック向きのB5サイズの2種類。さらに縦型ノートにするか、横型ノートにするかを自由に決められるので計4種類が選べます。
和小物のような、ちょっとレトロな絵柄は、浅草橋のイラストレーターさんが手がけたもの。使い込むほどに風合いがよくなるイタリア製の皮表紙も魅力的です。
②中紙を選ぶ
中紙も約30種類と豊富。カキモリがオリジナルでデザインした、味わいのある中紙がおすすめです。また、主にどんな筆記具で書きたいかも重要なポイントです。万年筆のようなインクに適した紙、色鉛筆に適した紙、あえてインクの滲みを楽しむ紙...など、書き味についてスタッフの方に相談してみるといいでしょう。
③リングの色を選ぶ
紙を閉じるリングの色は5種類から。全体留めか上下留めかも、好みで選びます。
④留め具の種類、色を選ぶ
ノートが開かないように留めるためのパーツを選びます。ゴム留め、封かん留め、ボタン留めの3種類から。表紙の素材とのコーディネートを、楽しく悩みましょう。
⑤カウンターで注文
パーツをすべて選んだら、スタッフの方がオーダーシートにまとめてくれます。
あとはスタッフにおまかせ。店内に手動製本機が置かれているので、製本工程をその場で見ることができます。
表紙の皮や、中紙に穴を開けます。
リングで留めます。
留め具をつけます。
完成です!
イタリア製のやわらかな牛革の表紙、裏はイラスト、B6横長の日記帳を作ってみました。ノートのリングを2ヵ所の上下留めにしたのは、書いているときになるべく手がリングにあたらないようにするためです。
今回は、最高級の革表紙を選んだためにトータル3,800円ほどになってしまいましたが、革以外の表紙なら1,500円くらいから作ることが可能です。
紙の表紙の場合、角を保護する金具をオプションで付けることもできます。色も金・銀・アンティークの3色から選べます。
バリエーションは無限大。自分で作ったならもう捨てられない、大切にとっておきたくなるノートになりますね?
「以前作ったノートを持って、中紙を使い切ったから新しい紙に入れ替えたいと来店されるお客さまもいらっしゃいます。もちろん中紙だけの交換も可能です。遠方の方のために「宅急便による中紙交換サービス」も行っています。そうやって7~8回繰り返し使っている方もいらっしゃいますよ」と広瀬社長。
またカキモリのオーダーノートには、紙素材でも革表紙でも箔押し名入れが可能です(最大14文字まで、位置は右下と決まっています)。名入れは工場に発注するため約3週間かかりますので、大切な人へのプレゼントにしたい場合は余裕を持って注文した方がよさそうです。