お中元にも使えるグルメもぞくぞく 最新 高級缶詰の世界
Vol.45 / 2015, 07
アウトドアや非常時の食料というイメージが強かった缶詰が、スタイリッシュにグルメ化し、いま見直されています。 「缶つま」シリーズをヒットさせ、高級グルメ缶詰ブームを牽引している国分(株)にお話を伺いました。
手に取りたくなるグルメな缶詰が続々登場
「缶詰」というと皆さんはどのようなイメージを持っていますか?災害時のための非常食?登山などの携帯食?お手軽な調理素材などなど。考えてみれば、缶ビールや缶ジュースも"缶詰"で、毎日たいへんお世話になっていますが、食品の缶詰に関しては「安いのが当たり前」とちょっと見下していたかもしれません。
そんな缶詰の世界が変わりはじめました。こんな料理までが缶詰に?!というようなグルメメニューや、パッケージがおしゃれになって大きくイメージチェンジ。その仕掛け人が、明治22年からK&Kブランドの缶詰を販売してきた食品卸の老舗、国分(株)です。
「それまで缶詰はスーパーマーケットの決められた棚にしか並んでいませんでしたが、発想を転換し「缶つま(缶詰を使ったお酒のおつまみ)」と名付けて酒類売場で販売したところ、大ヒットシリーズになりました」(南山さん)
そもそも缶詰の最大の欠点は「中身がどんなものか見えない」ということでした。見えないものに高いお金を出して買う気にはなかなかなれません。そこで缶詰の外箱をつくり、中身の写真をパッケージの全面にデザインしたところ、以前からあった缶詰の売上げが何倍にも伸びたのだそうです。
「デザインと売り方を変えただけで500円以上の缶詰が売れ始めたのをみて、私たちは自信を持って缶つまのラインナップを強化しました。家庭では手軽に作れない燻製や、本格レストランの味を次々と発売。2012年頃になるとバル・ブームが到来し、女性も『うち飲み』用にタパス(スペイン式の小皿料理)をイメージしたその年の新商品「ベジタパスシリーズ」の缶詰を買って下さるようになりました」(南山さん)
国分では春と秋の年2回、缶つまの新作を発表しており、6月現在、種類は80アイテムも揃うようになりました。ベストセラー商品は、桜のチップでスモークした「缶つまプレミアム 広島県産かき燻製油漬け(530円)」や「缶つまプレミアム 北海道噴火湾産ほたて燻製油漬け(430円)」、「缶つまレストラン 厚切りベーコンのハニーマスタード味(400円)」など、だいたい400円台から600円までの商品が売れ筋ですが、中には次のような2000円の超高級缶詰もラインナップされています。
缶つまレストラン「オマールエビのオリーブオイル漬け(100g)」2000円
カナダ産オマールエビの爪だけをオリーブオイルとローリエの葉に漬け込んだもの、香りが良くオマールエビの旨みが口いっぱいに広がります。
缶つま熟成「北海道短角牛ロースト(60g)」2000円
<2015年3月新商品>
希少な北海道産短角牛の熟成肉をローストし、ロレーヌ岩塩と香辛料でシンプルに味付け。
缶つまプレミアム「福岡県産筑紫金うなぎ蒲焼(95g)」2000円
<2015年3月新商品>
福岡県のブランド鰻「筑紫金うなぎ」を職人が備長炭で炭焼きに。きれいな水と特別な飼料で育てられているためまったく臭みがなく、鰻のおいしさが引き立っています。
コラム 缶詰の歴史1
缶詰の誕生はナポレオンの功績?
缶詰の誕生は、1804年とされています。外国遠征に明け暮れていたナポレオンが、兵士の士気を高めるために、兵糧の長期保存方法を公募しました。そこに応募した食品加工業者のニコラ・アペールは調理済みの食品を瓶に詰め、加熱して中の空気を抜き、コルク栓で密閉するという保存法を提案し、みごと1万2000フランの賞金を獲得しました。このときアペールはガラス瓶を密閉容器に使いましたが、まもなく英訳出版されたアペールの著書を読み、イギリスのピーター・デュラントがブリキ缶による缶詰方法の特許を取得し、Tin Canister と名付けました。英語のキャン(Can)はキャニスター(Canister)が省略されたもので、また日本語の缶はその音訳語です。
当初の缶詰は高価なため、軍需用や探検用などの特殊な用途に限られていました。