スパイスの上級者になる冬に役立つスパイスの知恵

Vol.27 / 2014, 01

●いつものメニューに1振りの魔法を

スーパーマーケットでずらりと並んでいるスパイスの中から、自分でブレンドして変化を楽しむために数種類を持っておくとしたら、何がよいでしょうか？

さきほど紹介したホットドリンクやお菓子、焼きリンゴやフルーツのコンポートなどの冬向きのデザートには、シナモン、クローブ、オールスパイス、カルダモンあたりのスパイスが欠かせません。この5種類くらいが定番ですが、他にふだんから家庭にあるショウガ（ジンジャー）、胡椒、ナツメグ、ガラムマサラなども、じつは意外なレシピと相性が良いのです。次は、スパイス別に相性のよい食材の組み合わせをご紹介しましょう。

＜スパイス解説＞

シナモン（カシア）：クスノキ科の熱帯性常緑樹の樹皮を乾燥させたもの。スパイスに使われる樹は数種類あり、代表的なものがセイロンシナモンとカシアです。エキゾチックな甘い香りが食材の甘みを引き立てるので、菓子に欠かせないスパイスです。

カルダモン（ホール）：ショウガ科の多年草で、さやの中にごま粒大の種子が入っています。清涼感のある芳香、ぴりっとしたほろ苦さがあり、カレーや挽肉料理、スイーツによく合います。少量でも香るので使いすぎないように注意してください。

ナツメグ（パウダー）：ニクズク科の熱帯性常緑樹の実の部分。種子を覆っている赤い皮を「メース」、種子の中にある仁の部分を「ナツメグ」と区別することもあります。ナツメグもメースも刺激的な甘い香りとほろ苦さがありますが、ナツメグのほうがシャープな清涼感、メースは濃厚な甘い香りがします。肉料理やジャガイモ料理が一般的ですが、野菜、卵、乳製品や焼き菓子にもよく合います。

スモークパプリカ：赤く完熟した果実をスモークしてから乾燥させ、粉末にしたものです。見た目は赤唐辛子に似ていますが、辛みはなく、甘酸っぱさを感じされる香りと苦みがあります。

シナモン＋あんこ

甘い香りのシナモンは、あんことも相性良し。あんパンに振りかけて食べたり、お汁粉にもシナモン、ジンジャー、クローブ、五香粉など好みの香りのスパイスを加えて、大人の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ガラムマサラ＋ホットチョコレート

ホットチョコレートにはスパイスがよく合います。定番（シナモン、ナツメグ、クローブ、オールスパイス）のほか、インドカレーに使うガラムマサラも、じつはホットチョコレートと相性良しです。ガラムマサラは、チーズケーキやチョコレートアイスに一振りしても意外と合います。

カルダモン＋コーヒー

中近東ではカルダモンをコーヒー豆に混ぜて香りを付ける飲み方が一般的。ペーパーフィルターの中に挽いた豆と一緒にカルダモンを加えてコーヒー淹れるとご家庭でも手軽に楽しめます。清涼感のあるカルダモンは、ホットミルク、カフェラテなどに入れると牛乳臭さが消えるのです。また、カルダモンはショウガ科なので、ショウガが合うスイーツ系のメニューには、基本的に同じように使えます。

ナツメグ＋チーズフォンデュ

ナツメグパウダーはハンバーグにしか使わないので余っているという方、チーズフォンデュのソースに少し加えて食べてみてください。煮込まなくても、食べる直前に混ぜればＯＫです。

スモークパプリカ＋チーズ

煮込み料理などの色づけに使うパプリカですが、スモークしてから粉末にした「スモークパプリカ」は、香ばしい薫香が加わって用途が広がります。たとえばプロセスチーズにかければ、おいしいスモークチーズに変身。スルメイカや、炒め料理に使えばコクが増しておすすめです。

ワンポイントコラム

スモークパプリカを使って、「チキンのパプリカ煮込み」を作りましょう。真っ赤で食欲をそそりますが辛くなく、ヨーグルトベースで作るので小麦粉ベースよりも低カロリーです。

チキンのパプリカ煮込みの作り方

[材料]

鶏もも肉1枚、タマネギ1/2個、マッシュルーム4～5個、ヨーグルト1/2カップ、生クリーム大さじ3、粉チーズ大さじ2、スモークパプリカ小さじ2～3、バター10g、塩適量、ブラックペッパーパウダー適量

[作り方]

① 鶏もも肉は細めに切り、塩を軽くふっておく。タマネギ、マッシュルームをスライスしておく。
② ①の材料をバターで炒め、鶏肉の表面の色が変わったら一旦火を止め、ヨーグルトと生クリームを混ぜ合わせておいたものとスモークパプリカをソースに加え、煮込む。
③ ソースが煮詰まったら粉チーズを加え、塩、ブラックペッパーで味を調えてできあがり。

「スモークパプリカ」がなければ、代わりに普通の「パプリカ」をお使いください。マイルドな味に仕上がります。パプリカをお使いになる場合は、唐辛子を少量（ふたつまみほど）加えると味が引き締まりまります。粉チーズや生クリームを増やすと、お子さま向きの味に。