ココジカ

サンウッドより、暮らしを豊かにするウェブマガジンをお届けします。

Produced bySunwood

スパイスの上級者になる 冬に役立つスパイスの知恵

Vol.27 / 2014, 01

スパイスと聞くと思い浮かぶのはインドや東南アジアの料理ではないでしょうか。暑い夏に食べて体調を整えるものというイメージがありますが、じつはヨーロッパでも、伝統的に体を芯から温める冬のスパイスを上手に使っています。食材が豊富な日本でも、たくさんの種類のスパイスが手に入りますから利用しないのはもったいない!まだ寒さが残る今の季節を、スパイスの力で乗り越えましょう。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.27
濱頭 直子さん

<お話を伺った方>
スパイスワークショップ・ポワヴリエ
スパイスエデュケーター
濱頭 直子さん

スパイス専門メーカー・マスコットフーズ(株)のスパイスレッスン講師。 少人数制のレッスンを通して、一般家庭へのスパイスの啓蒙普及活動を行っています。

欧米の冬メニューで使われるスパイスとは

●スパイスとは、植物由来の香りや風味でメイン食材を引き立てるもの

スパイス

スパイスは日本語では「香辛料」と訳されることもあって、辛みの調味料というイメージがありますが、辛み成分を持つものはごく一部に過ぎません。日本で伝統的に親しまれている香辛料には魚料理に使われるものが多く、しょうが、わさび、山椒、ニンニクなど辛み成分のあるものに集中しているため、スパイス=薬味=辛いというイメージが先についてしまったのかもしれません。しかし、じつは辛みがあるものだけがスパイスではなく、スパイスとは「植物由来の自然調味料」全般を指すもの。こう考えるとスパイスの利用の幅が広がりますね。

日本は自然に恵まれ、新鮮な食材が手に入りやすかったため、防菌や強い香り付けを必要とせず、素材本来の味を生かす"和食"が発達しました。一方で、高温多湿の東南アジア諸国では「防腐」や「食欲増進」のため、広大なヨーロッパ大陸では冬期に食物を保存する際の「防腐」や「肉の臭み消し」のため、スパイスを多彩に使いこなす食文化が発展しました。

世界中の食の知恵が手に入る時代、私たちもスパイスを上手に使って、料理をおいしく、そして冬の寒さを乗り越える工夫をしましょう。

●冬のスパイスは、辛さで汗をかくためではなくおなかを刺激してじんわり温めるように使う

スパイス使いの上級者になるコツは、少量をブレンドしてきかせることです。どんなメニューにプラスしてもかまいませんが、量の入れすぎは禁物。入れすぎるとざらざらとして食感が悪くなったり、薬っぽい味になったりします。

また、冬に辛いお鍋を食べて体を温めようという人がいますが、汗をかき過ぎてしまっては その後かえって体が冷えきってしまい、逆効果です。おなかがぽっと温まるくらいが、ちょうどいいのです。 新しいスパイスとのつきあい方をこれから始めてみましょう。

●冬のヨーロッパの知恵その1 グリューワイン(ホットワイン)

リンゴベースの「アップルサイダー」(写真左)
ブドウベースの「グリューワイン」(写真右)

例えばクローブ入りのホットラム、唐辛子入りのウォッカなど、スパイスを加えたホットアルコールドリンクはヨーロッパに数多くあります。中でもドイツやフランスの冬の飲み物として欠かせないのが「グリューワイン」。スペインでも冬になると、ワインとオレンジジュースで作った「サングリア」をホットで飲みます。ベースを赤ワインではなく100%グレープジュースで作れば、子どもも楽しめるホットドリンクになります。

アメリカやカナダでは、100%アップルジュースにシナモン、クローブ、オールスパイスを加えて煮込んだ「ホットアップルサイダー」が作られます。大人はこれにアルコールを足して飲んでいます。 また、アメリカの卵酒「エッグノッグ」には、挽いたシナモンとナツメグを入れるのが定番。温めた卵の生臭さを、スパイスが消す役割を果たしています。

ホットアップルサイダーの作り方

[材料]

100%アップルジュース1L、シナモンスティック2本、クローブ(ホール)5~6粒、オールスパイス(ホール)5~6粒、オレンジピール大さじ1/2

[作り方]

① フライパンにスパイスを全て入れて30秒~1分香りが出るまで空煎りする。
② 鍋にアップルジュースと①で煎ったスパイス、オレンジピールを入れて中火で沸騰直前まで温め、フタをして30分~90分煮込む。(90分煮込むとより濃厚な風味が楽しめます)。

サングリアスパイス

ワンポイントコラム

お手軽にホットワインを作るなら、おすすめなのがマスコットフーズのブレンドスパイス「サングリアスパイス」。
ワインのハーフボトル(375ml)にティーバック1個を入れ、アルコールが飛ばない程度に軽く温めるとできあがりです。

ブレンドされているスパイス

シナモン、オレンジピール、ローズヒップ、レモンピール、
カルダモン、クローブ 
 

●冬のヨーロッパの知恵その2 スペキュロス(スパイスクッキー)

スーパーの輸入菓子コーナーで買える
ベルギー製のスペキュロス。

「スペキュロス」とは、ベルギーや北フランス地域の伝統的なスパイス入りの堅焼きクッキー。ベルギーのロータス社のカラメルビスケットが有名です。使われるスパイスは、シナモン、ナツメグ、カルダモン、ショウガなどです。家庭でも型抜きクッキーを作るときに、上記のスパイスをお好みで加えてみてください。

ペストリースパイスミックス

ワンポイントコラム

お手軽にスパイスクッキーを作るなら、マスコットフーズのブレンドスパイス「ペストリースパイスミックス」を使うのがおすすめ。パンやクッキー、ホットケーキなどのスイーツレシピに合うよう、バランスよくブレンドされています。お出かけ時に持ち歩いて、カフェで飲み物に一振りしてもおいしくめしあがれますよ。

ブレンドされているスパイス

シナモン、陳皮、クローブ、ナツメグ、メース
 

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。