食で味わう映画の世界
ラムチョップのグリル チョコレートソースがけ「ショコラ」より
Vol.26 / 2013, 12
北風の吹く日、フランスのとある村へとやってきたヴィアンヌとアヌークの母娘は、この村でチョコレートショップを開店します。その魅惑的なチョコの味は閉鎖的な村人たちの心を徐々にとかしていきますが…。
チョコレートの効能を広めるために世界中を旅してきたヴィアンヌたちがやってきたのは、伝統と規律を重んじる保守派の村長、レノ伯爵が支配する閉鎖的な村でした。そんな保守的な村のなかで掟を気にしないヴィアンヌは、村人たちから好奇の視線を向けられます。しかし、エレガントでありながらきびきびとよく動く彼女は、自らペンキを塗り、建物を修繕してチョコレートショップをオープン。よそ者を嫌う村長の画策にも負けず、チョコレートを武器にして自分の生き方を貫いていくのです。この映画は古いものと新しいものの対立が描かれています。劇中で神父が語る「何を排除するのかではなく、何を受け入れるのかでその人の人生の価値が決まるのです」という言葉は、村人たちだけではなく、私たちの心にも響きます。
さて、『ショコラ』のタイトル通りさまざまなチョコレートが登場する本作。チョコレートショップでヴィアンヌが手際よく作るトリュフも魅力的ですが、中盤のパーティーシーンで、メインの肉料理にチョコレートソースを回しかけて、村人たちがうっとりとした表情で食べている場面に気付かれましたか?
あられやポテトチップスにチョコをかけているお菓子が知られるようになった最近でも、「お肉にチョコ?」と思う人は多いはず。今回ご紹介する料理のチョコレートソースは、苦みと甘みのバランスが抜群で、スパイスやハーブの風味と調和してお肉の臭みを消す効果があります。まさに肉料理を引き立てるソースなのです。
劇中、お店をオープンしてすぐホットチョコレートにチリを少し入れて、元気のない大家さんにすすめているシーンがありましたので、今回のチョコレートソースにもチリペッパー(なければ一味唐辛子でも可)を一振り加えてみました。ぜひお試しください!
レシピ「ラムチョップのグリル チョコレートソースがけ」
2人分 ※ソースは作りやすい4人分の分量
調理時間 40分
《ラムチョップのグリルの材料》 | |
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ラムチョップ | 4本 |
マリネ液(下記参照) | |
チョコレートソース(下記参照) | |
◯マリネ液の材料 | |
塩 | 小さじ1/2 |
コショウ | 適宜 |
オリーブオイル | 大さじ2 |
バルサミコ酢 | 大さじ2 |
ニンニク | ひとかけ(輪切りにする) |
ローズマリー | 1枝(葉をしごきとっておく) |
◯チョコレートソースの材料 | |
赤ワイン | 50cc |
ビーフコンソメ(固形スープの素を溶いたもの) ※市販のコンソメの素を水量に合わせて溶く | 120cc |
板チョコ(カカオ70%以上の甘くないもの) | 30g |
バター | 30g |
チリペッパー | 少々 |
[作り方]
1.ボウルにラムチョップを入れ、そこにマリネ液の材料をすべて加えてすり込む。ラップをして冷蔵庫に入れ、そのまま1時間ほど置く。
2.チョコレートソースを作る。小鍋に赤ワインとビーフコンソメを入れ、中火にかけ、よく混ぜながら煮詰める。
3.20~30分煮詰めて1/3ほど量になったら弱火にして、湯せんにかけて溶かしておいたチョコレートを入れ、なめらかになるまで混ぜる。仕上げにバターを加えてひと混ぜし、火を止める。
4.グリルパン(またはフライパン)を熱し、必要ならばオリーブオイル(分量外)を薄くひく。ラムチョップをマリネ液から取り出してキッチンペーパーで水分をふき取り焼く。最初は強火で片面ずつ2分、のちに中火にしてお好みの焼き具合に。
5.皿に盛ってチョコレートソースをかけたら、ローズマリーを飾って完成。
DVD情報
『ショコラ』
・発売日:発売中
・発売・販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
・価格:¥2,500(税込)
監督: | ラッセ・ハルストレム |
出演: | ジュリエット・ビノシュ |
ジョニー・デップ | |
ジュディ・デンチ 他 |
おいしい幸せ、召し上がれ
ジョアン・ハリスの同名小説を『砂漠でサーモン・フィッシング』のラッセ・ハルストレム監督が映画化。チョコレートの効果によって村人たちの心をとかしていく主人公ヴィアンヌを『コズモポリス』のジュリエット・ビノシュが、主人公と心を通わすジプシーのリーダー・ルーを『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジョニー・デップが演じた。その他、『007』シリーズでジェームズ・ボンドのボス・Mを演じるイギリスの大女優ジュディ・デンチが共演している。
北風の吹く日、フランスのとある村に謎めいた女性ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)が娘を連れてやってきた。伝統と規律を重んじる保守的な村で、彼女はチョコレート・ショップを開店する。見たこともないおいしそうなチョコレートで溢れた店、人々は自分の好みにピタリと合うチョコレートを勧められ、すっかりチョコレートの虜に。おいしいチョコレートとヴィアンヌの不思議な魅力は、閉鎖的だった村人たちの心をとかしはじめる。しかし、古き伝統と規律を守ろうとする村長の反感をかってしまう。