ジブリ作品の中に迷い込む ~三鷹の森ジブリ美術館~
Vol.16 / 2013, 02
「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など、国民的人気を誇るアニメーション映画を制作したスタジオジブリの作品世界を体験できる、三鷹の森ジブリ美術館。アニメーションの仕組みがわかる展示室や図書閲覧室のほかにも、映画最新作の公開にあわせて設定資料などを公開する展示会、オリジナル短編アニメーションの上映などが行なわれており、日本はもちろん世界中から足を運ぶ人々で賑わっています。
武蔵野の緑を色濃く残す、井の頭恩賜公園の中にある三鷹の森ジブリ美術館。1200坪ほどの広さを誇る美術館の敷地は元々雑木林だったこともあり、周囲の自然に溶け込むかのように存在しています。同美術館が井の頭公園の中にできたのは、1992年に東京都と三鷹市が井の頭公園の西園を文化施設の建設を条件として使用することに合意したことが発端となっています。その後98年に美術館を開設する候補地を探そうと、スタジオジブリのスタッフが三鷹市を訪れ、計画が具体化しました。
美術館の建設にあたっては、スタジオジブリのアニメーション監督・宮崎駿さんによる多くのスケッチを元にデザイン。同氏が「それ自体が一本の映画としてつくりたい」と考えたように、美術館の中を歩いていると、さながら映画のシーンのように変わっていく景色を楽しめます。そんな同美術館のコンセプトは「迷子になろうよ、いっしょに。」ーーーー地下1階から地上2階まで吹き抜けとなった大空間が広がっている同美術館。地下1階から全体を見渡すと、螺旋階段や空中廊下・張り出しテラスなどが、スタジオジブリのアニメーション作品に出てくる建物のように不思議な空間をつくっているのがわかります。また、同館は、道順や順路などを定めていないのも特徴の一つ。コンセプト通りにアニメーション作品の中に迷い込んだような気分を味わえる演出がされています。
ほかにも、美術館の入る前にある “トトロ受付”ではトトロがお出迎えして、本当の受付の場所を教えてくれます。近くの穴を覗くとマックロクロスケがいるなど、遊び心が満載。この他、館内には、ネコバスやロボット兵など、映画作品にちなんだ展示や、アニメーション映画を作っているスタジオをのぞき見られるような展示などもあります。企画展も充実しており、ファンの方はもちろん、そうでない人も楽しめるような工夫が館内にあふれています。
「おもしろくて、心がやわらかくなる美術館
いろんなものを発見できる美術館
キチンとした考えがつらぬかれている美術館
楽しみたい人は楽しめ、考えたい人は考えられ、感じたい人は感じられる美術館
そして、入った時より、出る時ちょっぴり心がゆたかになってしまう美術館!」
ーーーーこれは、同館の館主でもある宮崎駿さんの「こんな美術館にしたい」という文章からの一文です。確かな世界観を具現化している反面、一人ひとりが何かを感じられる余白を残している三鷹の森ジブリ美術館。是非、皆さんも足を運んでみてください。
【ちょっと知りたい、まめ知識】
三鷹の森ジブリ美術館では、この場所でしか公開されていないオリジナル短編アニメーションの上映があるのをご存知ですか? 9作品が、時期によってかわるがわる上映されており、3月は色鉛筆で描かれた背景画が印象的な子犬の冒険物語「コロの大さんぽ」、4月からは「となりのトトロ」の後日談と言える「めいとこねこバス」の予定。スタッフが大きな映写機を使って、35ミリフィルムをまわしている様子もあわせてお楽しみください。上映作品はHPで確認できます。
三鷹の森ジブリ美術館
【住所】
東京都三鷹市下連雀1丁目1-83(都立井の頭恩賜公園西園内)
【電話番号】
0570-055777(9:00-18:00/休館日は除く)
【開館時間】
10:00~18:00
【休館日】
火曜日
他、長期休館あり
【入館料】
大人・大学生:1000円
高校生・中学生:700円
小学生:400円
幼児(4歳以上):100円
※入場は日時指定の予約制。毎月10日午前10時から翌月分のチケットがローソンで発売される(10日が土日祝の場合は翌平日)。
【アクセス】
■JR中央線「三鷹駅」 徒歩約15分(同駅南口からコミュニティバスあり、有料)
■JR中央線・京王井の頭線「吉祥寺駅」 徒歩約15分
■京王井の頭線「井の頭公園駅」 徒歩約15分
※三鷹の森ジブリ美術館には駐車場がございません。近隣の有料駐車場、または公共交通機関をご利用ください。
【公式ホームページ】
http://www.ghibli-museum.jp/