チョコレートは単体で食べても十分楽しめるのですが、相性の良いお酒と一緒に味わうとどちらもよりおいしくなり、１＋１が２では留まらない味覚の広がりが生まれます。個性や味わいの変化を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごしてみませんか？

たとえば、相性抜群なのはこんな組み合わせです。
山崎12年　＋　Le Chocolat de H（ル ショコラ ドゥ アッシュ）の「ヴァーグ」

山崎12年はやさしい甘味が特徴なので、ビターチョコレートではなくミルク系のチョコレートと合わせると、とてもバランスが良いのです。
「ヴァーグ」（写真手前）は、ムースミルクガナッシュのなめらかな口当たりと、やさしい味わいが特長。山崎の奥行きある甘みと重なると、キャラメルのようなコクや余韻が感じられます。同じミルク系の「レガル」（写真奥）などもおすすめです。
ぜひお試しください。

カカオ豆は品種や産地によって驚くほど異なり、それぞれが違う香り、口溶け、味わい、余韻などをもっています。それらをテロワールと読んでいますが、カカオ豆の個性の違いををじっくり楽しめるのが、シングルビーン（またはシングルオリジン）と呼ばれるチョコレートです。その名の通り、単一の産地のカカオ豆だけを材料として作った板チョコのことです。
ワインやシングルモルトウイスキーをテイスティングしてより深く味わうように、シングルビーンのチョコレートも、カカオ豆によるテロワールの違いを体験してみることができます。

チョコレートのテイスティングを初めてする方には、気軽に手に入るシングルビーンのチョコレートとして、明治の「100％チョコレート・カフェ」の食べ比べがオススメです。自分の直感を大切に、最初に感じた印象を言葉にして、すぐに書き留めてみるとより楽しめます。

03 マダガスカル産 ... フルーティーな印象、酸味を感じられますか？マダガスカル産カカオの特長は華やかなフルーティーさなので、フルーツと合わせたボンボンショコラ（※）の材料に良く使われています。
※ボンボンショコラとは...一口サイズのチョコレート全般を指します。ガナッシュをチョコレートでコーティングしたトリュフなど。

09 ベネズエラ・スルデラゴ産 ... ベネズエラの中でも地域によって味が全く違うのですが、これはマラカイボ湖の南のスルデラゴという産地。 酸味・渋み・苦みのバランスがよく、マイルドで食べやすい印象です。

12 エクアドル産 ... 舌や頬に残る後味として、渋みが感じられるのではないでしょうか。渋みのアクセントがこのエクアドルの豆の特長。渋みや苦みにおいしさを感じる人、お酒など嗜好品が好きな人に好まれる傾向があるチョコレートです。

16 ブラジル産 ... 個性的で面白い味ではないでしょうか。口に含むと他のものよりオイリーでまろやか、口溶けが早い感じがしませんか。このブラジル産カカオのチョコレートは「ドライな香り」とか「ウッディ」という言葉で表される印象があります。

このようにこれまで同じと思って食べていた板チョコも、じっくり向き合ってみると味が違うことに気づきます。チョコレートはワインやウイスキーのように、大人の嗜好品として楽しむことができる奥深いものなのです。