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変わりゆく姿、変わらない思い。~根津美術館~

Vol.12 / 2012, 10

東武鉄道などの社長を務めた実業家・初代根津嘉一郎氏が収集した美術品を保存し、展示するためにつくられた根津美術館。開館したのは1941年で、日本の中でも長い歴史を持つ美術館の一つです。根津美術館の所蔵品は、日本・東洋古美術等あわせて7,400点以上に及びます。その中には、国宝7件・重要文化財87件・重要美術品94件が含まれています。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.12

コレクションを秘蔵するのではなく、衆と共に楽しむ

趣向を凝らした企画展や貴重なコレクションの数々を一目見ようと、国内外の多くの人々に親しまれている根津美術館。過去には美術館としての存続が危機的な状態に陥った時期がありました。それは、第二次世界大戦末期の1945年。根津美術館は、戦災によって展示室や茶室など、その大部分を焼失してしまいます。しかし、「コレクションを秘蔵するのではなく、衆と共に楽しむ」という根津嘉一郎氏の思いを途切れさせないためにも、54年には美術館の本館を再建。さらに64年・91年に増改築を施しました。また、2006年からは3年半を掛け、3つの倉庫と旧本館を取り壊して新たな本館を建設するなど、大規模な改築工事を行いました。

燕子花図屏風(右隻)
根津美術館蔵:燕子花図屏風(右隻)
花白河蒔絵硯箱
根津美術館蔵:花白河蒔絵硯箱
根津美術館蔵
根津美術館蔵:饕餮文方彝

建築物として見る美術館

正門からのアプローチ
正門からのアプローチ (C)藤塚光政

現在の、和風家屋を思わせる大屋根が印象的な本館は、この度の大規模改築を経て、2009年にリニューアルオープンしました。建築家の隈研吾氏が設計を手掛けたもので、特別展用のギャラリーのほかにも、絵画・書蹟、青銅器、茶の湯の美術など、同館の多彩なコレクションの魅力を最大限に引き出す、趣の異なる6つのギャラリーが設けられています。コレクションの中には、絹や紙、漆など、デリケートな素材でつくられているものが多く、作品にも鑑賞者にも最適な展示環境に配慮しているのが同館のこだわり。同館の展示ケース内の照明をすべてLED(発光ダイオード)とファイバースポットにすることで作品の鑑賞に適したライティングを可能にしていることなどが、その一例です。

ちょっと知りたい、まめ知識

根津美術館がある場所は、初代根津嘉一郎氏の私邸跡。美術館の本館から一歩外に出ると、約2万m²の広さを誇る庭園が広がっています。園内は「都会のオアシス」ともいうべき豊かな緑であふれており、そこには移ろいゆく四季折々の姿があります。また、同氏が茶の湯にいそしんでいた名残から、庭園には4棟の茶室が備えられています。本館と同じ隈研吾氏の設計によるカフェでは、これらの景色を一望することができるので、庭園散策の足休めに立ち寄ってみては。

NEZUCAFÉ
内観 NEZUCAFÉ
庭園内の茶室「弘仁亭」
庭園内の茶室「弘仁亭」

根津美術館
【住所】
東京都港区南青山6-5-1

【電話番号】
03-3400-2536

【開館時間】
10:00~17:00
※最終入館時間は閉館30分前

【休館日】
月曜日・展示替期間・年末年始
※月曜日が祝日の場合は翌火曜日
※10月31日まで休館

【入館料】
■特別展
一般:1,200円(前売り1,100円)
学生(高校生以上):1,000円(前売り900円)

■コレクション展
一般:1,000円(前売900円)
学生(高校生以上):800円(前売り700円)

【アクセス】
■東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」徒歩8分
■JR渋谷駅から都営渋88系統バス(渋谷~新橋)「南青山六丁目」下車、徒歩5分



【公式ホームページ】
http://www.nezu-muse.or.jp/

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。