秋の夜長にじっくり味わう 本格ウイスキー入門
Vol.11 / 2012, 09
Part2 世界に認められた日本のウイスキー
現代では、世界の5大ウイスキーの産地といえば、1-スコッチ、2-アイリッシュ、3-アメリカン(バーボン)、4-カナディアン、5-日本。日本も優れたウイスキーの産地として世界に認められています。日本のウイスキーの特徴についても、知っておきましょう。
繊細な日本人の舌に合うウイスキーを求めて
日本は明治維新以来、産業技術を学ぶためにスコットランドのグラスゴー大学に多くの留学生を送り出しました。そこで恩師の国民酒であるスコッチウイスキーが、日本のインテリ層にいち早く入ってきたといえます。
1923年、鳥井信治郎(サントリーの創始者)は、ウイスキー国産化を夢見て、大阪に山崎蒸溜所を着工します。1929年に初の国産ウイスキー「白札」を発売しますが辛口過ぎて全く売れず、事業存続の危機に瀕してしまいます。スモーキーさを好む本場のスコッチと、日本人の繊細な味覚との差異を確信した鳥井は、赤玉ポートワインのニュアンスをウイスキーにも追求し、シェリー樽で熟成させ、まろみを増したブレンデッド・ウイスキーを売り出しました。1937年、これがスーパーロングセラー「角瓶」の誕生でした。
鳥井の挑戦から80年後の2003年、「山崎18年」は世界的権威のあるインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)で初の金賞を受賞。2006年には「白州18年」がISCで金賞を受賞します。以降、10年連続で入賞を続けており、ジャパニーズ・ウイスキーは世界最高水準との評価を受けるまでに成長しました。
コラム:サントリー白州蒸溜所
山崎蒸溜所の建設から50周年を迎えた1973年に誕生。ウイスキーの新しい味と香りを追求するため、仕込み方、蒸溜方法、熟成樽の種類まで、様々なつくり分けを行い、多彩な個性を持ったモルト原酒を作り出しています。標高約700mの高地に位置する「森の蒸溜所」は世界でも珍しく、南アルプスの山々をくぐり磨かれてきた軟水を、モルト原酒の仕込み水として使用しています。
山梨県北杜市白州町鳥原2913-1 工場見学も可能です。
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Part3:おいしいウイスキーの楽しみかた
おいしいハイボールの正しい作り方
- グラスいっぱいに大きめの氷を入れます。氷は天然水でつくったものがベストです。
- グラスにウイスキーを注ぎます。
- 次が重要!次にすぐソーダを注ぐのではなく、マドラーで13回転半かきまぜます。ウイスキーが薄まりにくく、味のバランスがこわれにくくなります。
- しっかり冷やしたところでもう1度氷を入れます。その後、炭酸が逃げないよう、なるべく氷を避けてソーダを注ぎます。おすすめは、ウイスキー:ソーダの割合1:3です。
- しっかり冷えて最後までウイスキーの味わいが楽しめる「プロのハイボール」を楽しみましょう。水割りを作る場合も同様にお試しください。
水割り&ハイボール以外にもこんなにいろいろ!違いのわかる楽しみ方
- ・ストレート
- 小ぶりのグラスに、1/3~1/2程度、ウイスキーを注ぎます。別のグラスにミネラルウォーターと氷を入れ、チェイサーを作ります。ウイスキーとチェイサーを交互に飲むことで口の中がリフレッシュされ、一口ごとにウイスキーのおいしさが味わえます。
- ・オン・ザ・ロックス
- できれば3センチ角程度の氷を2~3個、グラスに入れ、半分くらいまでウイスキーを注ぎ、マドラーなどで軽く混ぜ、氷とウイスキーをなじませます。オンザロックスは冷たさが命。グラスが冷えていなければ、水と氷をたっぷり注いで冷やし、いったん捨ててからつくりましょう。
- ・ハーフロック
- ハーフロックは、オン・ザ・ロックスのスタイルで、ウイスキーと水、ソーダなどを1:1で加えるもの。ウイスキーの香りと味をマイルドに引き出します。
- ・ミスト
- ロックグラスにクラッシュドアイスをたっぷり入れ、ウイスキーを適量(30~45ml)注ぎます。レモンピールを搾りかけ、グラスの中に落とします。
- ・トワイスアップ
- ワインのグラスにウイスキーと、同量の水を常温のまま注ぎます。グラスを静かに揺すって香りを立たせてみましょう。「香り」を知るのに最適な飲み方で、初めて出会うウイスキーや、新しいボトルの封を切るときにオススメです。
- ・ホットウイスキー
- ウイスキーをグラスの1/3から1/4ほど注ぎ、ウイスキーの倍~3倍くらいのお湯を加え軽く混ぜます。お湯は80度くらいが最適。レモンなどの柑橘類、シナモンスティックやクローブ、バジルなどのハーブ類、 ジャムやハチミツなどとも合います。