全館無印ブランドだけのホテルを銀座で実現
場所は銀座3丁目、マロニエゲート銀座の向かい側、並木通りに面して建つ「MUJI HOTEL GINZA」。一見すると全くホテルらしい趣はないのですが、1〜5階までは無印良品のショップになっていて、7〜10階がホテルの客室になっています。さっそく6階のフロントに上がってみます。
内装は木・石・土を中心に、およそ100年前に敷かれた東京を走る路面電車の敷石や、本物の船の廃材を再利用したりしているそう。
フロントの隣は、デザイン関係の本棚が並んだ「Library」。宿泊客でなくても利用できるロビースペースとなっています。
新築のビルなのに、天井は配管がむき出しのままです。むしろ、それもデザインのひとつとして美しく見せるという狙いかもしれません。
6階には他に、無印良品初のおばんざい店「WA」や、カウンターバー「Salon」も開業、無印良品の世界観で統一された空間で食事やお酒が楽しめます。2つのギャラリースペースも有し、複合的な文化の発信地として人気を呼びそうです。
ひときわ目を引く長いバーカウンターは全長10m。樹齢400年のクスノキの無垢材で、職人がノコギリで切った跡まであえて残し、自然の温もりを感じさせてくれます。「Salon」は朝10時〜深夜2時まで営業、コーヒー(600円税込)を飲みながら読書...という使い方もできる静かな空間です。
さて、問題の客室は? 客室はAからIまでの9タイプで全79室。すべての設備が無印の商品で統一されているだろうとは、想像できますが...。
間口2m強、いわゆる『うなぎの寝床』タイプであるという斬新さに、まず宿泊客はあっと驚かされます。
これはもともと、このビルがオフィス仕様で設計されたビルであったため。間口を普通のサイズにすると採光のある部屋数が減ってしまい、無印良品らしいリーズナブルな価格帯が実現できなくなると、考え抜いた末のアイデアなのだそうです。
背の低い家具づかいやレイアウトの工夫で、ミニマムな細長空間を、開放感のあるものに変身させています。逆に天井高は2.8mもあるので、ちょっと非日常な感覚も味わえそうです。
宿泊料金は最も客室数の多いCタイプ(ダブル)の場合で1室29,900円(税・サービス料込)、2名利用なら1人14,950円(税・サービス料込)。しかも平日・休前日の区別のないワンプライス制をとっているもの特徴です。繁忙期料金も関係なく一律料金で、銀座ステイが叶うとあって、当分予約の取れない状況が続きそうです。
このホテルを設計・運営しているのは設計事務所のUDS。東京・目黒で古いホテルをリノベーションした「CLASKA」などを手掛けてきたデザイン会社です。MUJI HOTEL GINZAはチェーン化して多店舗展開をめざすわけではなく、このスタイルでは銀座だけとなる予定。ベッドやシーツ、スリッパ、ケトルまで実際に商品を利用してよさを体験してもらうことが大切で、逆に宿泊客から出た要望を、新しい無印の商品開発に生かしていくとのことです。
他に、写真では紹介できない部分では、客室の調光や照明・カーテンの開け締めなどを全てタブレット端末で操作するハイテク仕様になっていること、平日でも週末や連休でも料金が同じシステムであること、フロントでランニングウエアを貸し出すサービスも行っているなど、ユニークな試みがいっぱい詰め込まれていました。
フロントの隣には、ホテルダイニングを兼ねた和食レストラン「WA」があります。朝食タイムは宿泊客のみで、日本のおばんざいを中心としたブッフェ。昼食と夕食は一般客も利用でき、日本各地の伝統的な郷土料理のメニューが、定期的に入れ替わっていきます。
Information
MUJI HOTEL GINZA
所 在 地:東京都中央区銀座3-3-5(銀座駅B4出口から徒歩3分)
電話番号:03-3538-6101
チェックイン:15:00〜
チェックアウト:11:00
URL:https://hotel.muji.com/ginza/ja/
※この記事は2019年5月31日時点での取材による情報です。価格や営業時間などは変わることがありますのでご了承ください。