東京のブドウで作った
都産都消の濁り生ワイン
ブドウの個性を引き出した
手作り新酒を限定出荷
このお店のオーナーで醸造家の越後屋美和さんは、かつて大田市場の仲卸で働いていました。そこで練馬区の農家さんと出会い、「東京でもこんなにおいしい野菜や果物が作られていることを、もっと多くの人に知ってもらいたい」と一念発起。100%ブドウだけで作るワインが、最も素材のよさをダイレクトに伝えられる製品だと確信し、醸造技術を学んで免許を取得、2014年に東京で初めてのワイナリーを立ち上げました。
「23区で最も農地面積が広く、自然に溢れている練馬区で、東京のワイン造りをしたいと横浜から引っ越してきました。ここは東京23区で唯一の牧場が残っていたり、JAの農産物共同直売所も近くにあります。この場所から都内でもぶどうをはじめ、おいしい農産物をつくっていることを発信し、ワイン造りもみなさんに体験してもらいたい」と思いを語る越後屋さん。
改装前は新聞配達店だったという建物は、表はオシャレなカフェ兼ショップ。カフェの奥がワインの醸造室となっています。
カフェの奥に通していただくと、ひんやりとした空気とほのかな酵母の香りが漂いました。東京のブドウは8月頃が収穫期で、仕込みが終わっているため、取材に伺った1月は、2018年物のさまざまな品種のワインが保存されている状態でした。
東京ワイナリーのワインは、仕込みから約1ヶ月で出荷する「練馬ヌーボー(11月)」から、シャルドネやメルローなど長めに醸すものでも7〜8ヶ月くらい、翌年の秋口までの1年売り切りであることが基本。消費地で醸造しているからこその、できたてのワインの面白さがあります。
また、ワインの酵母をボトル内に残している「無濾過・無清澄」。なるべく何も足したり引いたりしない、濁り生ワイン(※)が特徴です。
※ 生ワインとは:濾過をせず、加熱殺菌もしないワインのこと。酵母をボトル内に残しているのでワイン本来のフレッシュでフルーティーな味わいが特徴です。
「東京産のブドウ」で作るワインができるまで
国立市の「ヤマブドウ」や国分寺市の「キャンベルアーリー」、日野市の「高尾」など、東京産のブドウを使ったワインが「東京ワイナリー」の代表作。ブドウは8月頃が収穫期のため、例年8〜10月頃の3ヶ月間に集中して仕込みを行います。繁忙期には、仕込みのお手伝いにボランティアを募集しています。ワインを愛する方は、協同作業でワインづくりを体験してみてはいかがでしょう?
① ブドウの収穫
東京のブドウは8月が収穫期。イベントとしてお客様有志を募り、畑仕事や収穫の手伝いに行くこともあるのだそう。
② 除梗(枝を取り除くこと)破砕
運び込んだブドウを、手動式の除梗破砕機で粉砕します。
③ 搾汁
プレスして汁を搾ります。だいたい1kgのブドウから、ボトル1本分のワインがつくれるのだそうです。
④ 発酵
こちらは、野生酵母のチカラでブクブクと発酵中のコンコード種。
⑤ 熟成
ステンレスのタンクに入れて熟成。タンクはおよそ700本分。また近年、一部のブドウは樽での熟成も試みています
⑥ 瓶詰め
ボランティアを含め数人で、瓶詰め、コルク打ち、ラベル貼りまですべて手作業です。