ココジカ

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経堂で見つけた世界初のパクチー料理専門店「パクチーハウス東京」

Vol.50 / 2015, 12

その独特な香りが特徴的な香菜、パクチー。みなさんは好きですか? 好きな人は好きですが、「ちょっと苦手・・・」という人も多いのではないでしょうか。 経堂にある世界初のパクチー料理専門店「パクチーハウス東京」では「パクチーが嫌いな人は世の中にいない(苦手や嫌いと思い込んでいてまだ気がついていないだけ。)」をポリシーに掲げ、パクチーを愛する人には惜しみなくパクチーを提供しています。きくところによるとパクチーが苦手と思い込んでいる人も、ここの料理を食べると好きになってしまうとか。今回はパクチーハウス東京のオーナー佐谷恭さんにパクチーへの想いと創業秘話についてお伺いしました。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.50

皆さんは、「パクチー」と聞くと、タイ料理などに多く利用されていて独特の香りが特徴というイメージではないでしょうか?日本でも歴史は古く江戸時代から「コエンドロ」と呼ばれ薬味のひとつとして魚料理などに利用されてきました。その他の国でも、香辛料に使用される「コリアンダー」や中華料理にでてくる「シャンツアイ」も同じものになります。 最近では、パクチーはデトックス効果やアンチエイジング効果があると言われており、多くの方に食されるようになってきています。

Kyo paxiこと佐谷 恭さん
お話しを伺った方

Kyo paxiこと佐谷 恭さん

株式会社旅と平和の代表取締役として交流する飲食店「パクチーハウス東京」の運営をしながら、日本パクチー狂会会長やパクチー銀行頭取などにも就任されています。

パクチーとの強烈な出会い

20年ぐらい前にカンボジアのプノンペンで出会った鍋料理がパクチーとの出会いでした。 木の枝のように1m近くに育ったパクチーを鍋にいれていたのですが、固くて幹の部分は噛み切れず、飲みこむのもやっとでした。地元の人を見てみると食べているようには見えなかったため、レモングラスのような香りづけとして利用されていたのかもしれません。この強烈な印象を残した食材が最初はパクチーであることを知りませんでしたが、世界中を旅する中で様々な料理として出されていることに気が付き、それがパクチーであることを知りました。しかし、日本ではなぜか見かけることが少ないと感じました。

パクチー

日本パクチー狂会設立

友人の料理研究家がパクチーの栽培に成功し、友人を集めてパクチーを食べる企画が持ち上がりました。その際に、「暇だけど行かない友人」と「予定を変えてでも行きたい友人」がおり、パクチーひとつでこんなにも違った反応が出るとは思っていませんでした。そこで、パクチーをメディアとして利用することで面白い友人が集まってくるのではないかと思い日本パクチー狂会を2005年に設立しました。
設立当初は、書籍や論文などを読み漁りパクチーの効能などについて掲載しました。また、パクチーについて月1回のメルマガ配信を1年近く続けたところ、購読者から「パクチーがどこで売っていた。」などの情報がくるようにもなりました。そこで、知り合った方々とパクチーについて語ろうと企画し、国内のタイ料理屋やベトナム料理店で開催したのですが、国内の流通量が少ないのか当時は、料理にパクチーが出てこなかったことが多かったようです。

パクチー銀行

パクチー銀行を設立したのは、2006年のノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行に感銘を受けて似たような仕組みでパクチーを広めることができないかと想っていました。
自分でパクチーを育ててみたいと思い、当時mixiで知り合った方がパクチーの種を配っていたので、その方に分けてもらって育てていました。そのうち、種を配る作業を私が手伝うようになり、種を欲しい方から「種ありがとうございます。」や「パクチーとの出会い」などのお手紙をいただくようになりました。パクチーを通じたコミュニケーションが図れていたのです。
しかし、種を配ることは意外と手間のかかる作業と感じていた時にグラミン銀行のことを知り、種を配ることから種を貸し付けるシステムへと変更し、さらに種を貸し出す際に返済の義務をなくすことを思いつきました。つまり、パクチーを育てた結果、種が余った場合にだけ返済してくれればよいというルールにしました。また、ATMを設置し、「余った種を蒔こう」と銘打ちました。現在では、お店でも種を配布しておりパクチー銀行の登録者数は数千人規模になっています。自宅でパクチーを育ててみたいという方は、パクチー銀行から種を貸し付けてもらってみてください。

パクチーの種

ひとくちコラム

Paxiという名前の由来

本来パクチーをアルファベット表記するとphakchiと分かりにくいのです。そこで、佐谷さんは、「pax」というラテン語の平和と言う意味と「i」という人の象形文字を合わせて「Paxi(パクチー)」という造語を創りました。パクチーを通じて人が平和になるという想いを込めた造語です。

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