圏央道(首都圏中央連絡自動車道)で行く酒と肴探訪(湘南・多摩エリア編)
Vol.48 / 2015, 10
圏央道が開通していくことで、圏央道沿いにある観光地や観光名所へも容易に行けるようになりました。そこで、圏央道沿いにある大人の観光地を求めて、酒と肴探訪に出かけてみました。 第1弾は、神奈川県と東京都の圏央道の出口から行ける酒蔵巡りと題して、神奈川県は湘南エリア最後の蔵元である「熊澤酒造」へ、東京都は酒蔵が国の有形文化財に指定されている蔵元「石川酒造」へお伺いしました。
明治5年(1872年)に創業して以来、日本酒を造り続け湘南に残された最後の蔵元「熊澤酒造」。
湘南エリア最後の蔵元としての誇り
「熊澤酒造」は、寒川神社を中心に豊富な水と広大な水田地域が広がっていたことから日本酒造りに適しているエリアでした。明治時代には、湘南エリアでも多くの造り酒屋があり、「熊澤酒造」から歩いて行ける範囲にもあったそうです。しかし、時代の流れと共に住宅地としても人気の出てきた湘南エリアからは、水田が住宅等に姿を変えていきました。このような環境の変化により6代目社長の熊澤茂吉さんは、「たまたま、ここだけが残ってしまった。」とおっしゃっていましたが、最後には「湘南を象徴する酒蔵として、誰もが湘南にふさわしいと思える日本酒をイメージして造っている。」と熊澤酒造としての酒造りに対する想いのこもった言葉をいただきました。
おしゃれな雰囲気の中で食事とお酒を愉しむ
「熊澤酒造」では、地域のコミュニティーの場としても役立てるようにカフェやイタリアン等のお店を併設しています。その中でも築450年の古民家を移築した建物にあるイタリアンのお店「MOKICHI TRATTORIA(モキチ トラットリア)」にお伺いしてみることにしました。
「MOKICHI TRATTORIA(モキチ トラットリア)」では、日本酒以外にも敷地内の工房で造られた無濾過で非加熱処理の酵母が生きた湘南ビールやパン、ソーセージ等を出来立てで楽しむこともできます。
湘南の食文化や海辺の食文化にふさわしい穏やかな香りと味わいを持つ熊澤酒造の日本酒にも対応したイタリアンのメニューを考えて提供しているとのこと。「日本酒にも?」と思ったのですが、同じ敷地で造られている湘南ビールにも合うイタリアンを提供しているためでした。
店内は湘南らしいおしゃれなムードと落ち着いた雰囲気があります。土日のランチなどは予約必至のお店らしく、私たちがお伺いした平日でも予約のお客さまで大変混雑していましたが、席と席との間隔が広く取られていることで周りを気にすることなくゆったりとお食事やお酒を愉しむことができます。 私たちは日本酒にも合う平日限定のランチと日本酒をいただくことに。
日本酒のメニューには飲み口や特徴が記載されており、食前酒としても食事中のお供としても日本酒の味も楽しめるようになっています。色々な種類を飲んでみたい場合は、天青四種利き比べで4種類の天青シリーズを試してみるのも良いですね。季節によってはその時期限定の日本酒も提供されるとのことで見つけた場合にはラッキーかもしれません。
熊澤酒造で作られている湘南ビール各種も用意されていますのでこちらを愉しむこともできます。
平日ランチ限定セットメニューは、種類が豊富でパスタやピッツァからお魚やお肉を使った料理まで7種類程度用意されています。さらに、ランチセットには湘南野菜を使用したサラダやパン盛り合わせ、デザート、食後の飲み物も付きます。
私たちが訪問した日のランチは、サンマのピッツァなど和の素材を生かしたメニューを提供しており、日本酒と合いそうなメニューが提供されていることがよくわかりました。
リゾット、ピッツァ、パスタともそれぞれ旬の素材を使用しており、食材の味がわかる味付けでした。日本酒にもビールにも合うイタリアンのお店というお話でしたが、お酒の愉しみ方を教えてくれるお店だと思いました。
お店で出されたパンの盛り合わせや日本酒、地ビール等は、お店の隣にある「MOKICHI Baker&Sweets(モキチ ベーカー アンド スイーツ)」でお土産としても購入できます。
お気に入りの日本酒を購入して本日の晩酌にいかがでしょうか。
近くにお立ち寄りの際は、湘南を象徴する穏やかな香りと味を持つ「熊澤酒造」の日本酒を「MOKICHI TRATTORIA(モキチ トラットリア)」でイタリアンと共に愉しんでみませんか。また、湘南のお土産としても喜ばれる1品だと思います。
コラム
●季節による日本酒の愉しみ方
1.新酒の時期に炭酸ガスのような気泡を出す「搾りたて」
2.滓を越さない「滓絡み(おりがらみ)」
3.濾過してから出す「生酒」
4.殺菌した「新酒」
5.夏を越して熟成した「冷おろし」
6.防空壕などで1年以上寝かせた熟成酒「古酒」
と1種類のお酒でも季節や時期により四季折々の愉しみ方ができるようです。