ココジカ

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南の国から届くミラクルフード ココナッツオイル健康法

Vol.39 / 2015, 01

いま、「ココナッツオイル」が注目されてきています。きっかけは2008年にアメリカで発表された認知症の予防・改善になるというレポートでした。他にもコレステロール値の改善、老化防止、美肌効果など、さまざまな分野で驚きのアンチエイジング効果が報告されています。 そこで今回は、10年前からフィリピン産のバージン・ココナッツオイルの商品化と普及に取り組んできた(株)ココウェルさんに、ココナッツオイルの魅力と、その上手な取り入れ方を教わりました。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.39
(株)ココウェル副社長 ココナティスト(ココナッツ啓蒙家) 東晃佑さん
<お話を伺った方>
(株)ココウェル副社長
ココナティスト(ココナッツ啓蒙家)
東晃佑さん

環境問題の学校で水井裕氏と出会い、2004年に(株)ココウェルを設立。日本に良質なココナッツ製品を広めるべく活動しています。フィリピン政府とも連携しながら、ココナッツ農家の自立と、持続可能な産業育成を支援しています。
http://www.cocowell.co.jp/

なぜ今注目されているの?

覚えておきたいキーワードは「中鎖脂肪酸」と「ケトン体」

ココナッツオイルとは、ココヤシの白い果肉(胚乳)の部分から抽出された油脂。融点が高く、約25度以上で液体に、約20度以下では徐々に固体になります。南の島の人々は身近なココナッツを、昔から解毒作用のある民間薬として重宝してきました。生の果肉を削りとって圧力をかけて絞った抽出液を自然発酵させ、3つの成分に分離させてそれぞれ活用してきました。すなわちココナッツミルク、水分(※1)、ココナッツオイルです。

ココナッツ
ココナッツ

ココナッツオイルは成分の60%が「中鎖脂肪酸(※2)」で、一般的な植物油と比べて消化吸収のスピードが約10倍速く、食後約3時間で脳や筋肉でエネルギーとして消費されます。このため体脂肪になりにくいのが特徴です。 一方、動脈硬化の一因として悪名高いトランス脂肪酸は全く含んでおらず、コレステロールもゼロ、料理に使う油をココナッツオイルに変えると、肥満の原因になる中性脂肪が減っていくという研究報告もあるそうです。 このような性質から、高脂血症患者の介護の現場や、ダイエットや美容に気を使うモデルや女優、良質なエネルギー源を必要としているスポーツ選手などに、ココナッツオイルはいち早く注目されてきました。

主な食用オイルの脂肪酸組成

主な食用オイルの脂肪酸組成

主な脂肪酸の分類

  炭素数 脂肪酸名 ココナッツオイルに含まれる割合
飽和脂肪酸 短鎖脂肪酸 酢酸 -
酪酸 -
カプロン酸(C6) 0.6%
中鎖脂肪酸 カプリル酸(C8) 8.1%
カプリン酸(C10) 6.5%
ラウリン酸(C12) 51.0%
長鎖脂肪酸 ミリスチン酸(C14) 17.8%
パルミチン酸(C16) 7.6%
ステアリン酸(C18) 2.6%
不飽和脂肪酸 一価脂肪酸 オレイン酸(C1 5.0%
多価脂肪酸 リノール酸(C18) 0.8%
リノレン酸 -
EPA(エイコサペンタエン酸) -
DHA(ドコサヘキサエン酸) -

日本食品分析センター 第14069279001-02号

※1 果肉を圧搾分離して得られる水分は、ちまたで話題の「ココナッツウォーター」とは異なります。ドリンクとして販売されているココナッツウォーターは、実の内側に溜まっている水分です。
※2 中鎖脂肪酸とは...分子の炭素数(C)が8〜12の脂肪酸。炭素数14以上は長鎖脂肪酸と呼びます。バターは短鎖脂肪酸、肉の脂は長鎖脂肪酸を多く含みます。

2008年にはアメリカの女性医師による体験談が出版され、世界的にココナッツオイルに注目が集まります。それは、ココナッツオイルの中鎖脂肪酸が肝臓で分解されてできる「ケトン体」が、脳の神経細胞の代謝を助け、アルツハイマー病の改善につながったということです(日本では順天堂大学の白澤卓二教授が日本語版を監修し、ココナッツオイルの効用を幅広く紹介しています)。

通常、脳細胞にエネルギーを与えているのはブドウ糖です。しかし脳細胞が変性してブドウ糖を吸収できなくなり、エネルギー不足に陥って正しく働かない状態になってしまうのが「アルツハイマー病」。しかし、体内にケトン体が増えれば、脳はブドウ糖の代わりにケトン体をエネルギー源として活動をし始めるというのです。

オイル(中鎖脂肪酸)を摂取することで、糖質(ブドウ糖)の代わりに脳のエネルギー源に変わるというのは、耳慣れない話かも知れません。糖質を制限すると、よりケトン体が働きやすい「ケトン体体質」となり、アルツハイマー病の予防にもつながるといいます。

それに加えて、ケトン体には抗酸化力も発見されます。2013年、カリフォルニア大学の研究者によって、細胞をサビつかせる活性酸素をケトン体が体内で無害化するという仕組みが明らかにされ、ココナッツオイルがアンチエイジングにも役立つことが解明されてきました。

コラム

●ココナッツオイル・プリングって何?

今回紹介するのは、ココナッツオイルを食用とする場合の方法ですが、オイルを口に含んで口内を殺菌するという健康法「オイル・プリング」も今年日本に紹介され、注目を集めています。
こちらはインドの自然療法「アーユルヴェーダ」に由来するもので、もともとはゴマ油などで行われてきましたが、私たちにとっては味の観点からもココナッツオイルのほうが行いやすいといえますね。
1日1回、スプーン杯のココナッツオイルを口に含んで15〜20分間くちゅくちゅとうがいをし、最後にオイルを吐き出します。口内をさっぱりさせ、虫歯や口臭予防のほか、口内の毒素を吐き出すことで体質改善にも役立つといわれています。これからはケミカルなマウスウォッシュの習慣をやめて、安全なココナッツオイルに代えてみてはいかがですか?

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。