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"揚げ"を極めた、天ぷらの名店「てんぷら みかわ 茅場町店」

Vol.36 / 2014, 10

茅場町の路地裏に店を構える天ぷら専門店の「みかわ」。ドキュメンタリー番組「プロフェッショナル~仕事の流儀~」(NHK)でも紹介された、天ぷら職人・早乙女哲哉さんが創業した人気店です。お昼時には老若男女による行列ができるなど、同店が多くの人に支持される理由をひも解いていきます。

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.36

1976年、茅場町にのれんを掲げた「てんぷら みかわ」。魚介類を中心とした江戸前の天ぷら専門店です。現在は都内に3店舗を展開し、創業者で茅場町店の初代店主・早乙女哲哉さんが厨房に立つ「みかわ是山居(ぜざんきょ)」は「ミシュランガイド」で星を獲得するなど、世界的な評価を得ています。

食感・味・香り--食材によって際立たせる要素があり、それによって揚げ時間などを一つ一つ調整しています。
食感・味・香り--食材によって際立たせる要素があり、それによって揚げ時間などを一つひとつ調整しています。

「みかわ」の天ぷらのおいしさは、一つひとつの素材の味を引き出すための徹底した揚げ方へのこだわり。それは料理人の膨大な経験と知識によって裏打ちされたもので、茅場町店の2代目店主を務める早乙女具視(ともみ)さんは、とりわけ揚げる素材の水分量を大事にしています。

早乙女具視曰く、「砂糖水から水分だけを抜いていき、砂糖の味を引き出していくようなイメージです。天ぷらは、揚げることで魚や野菜の味を引き出していくものですが、衣はそのコントロール役。衣が付いているところは水分が抜けにくくなり、付いていないところはすぐに抜けていきます。
たとえば、キスの片面には皮がある分、身の面よりも水分が抜けにくい。皮の面にとってベストな揚げ時間では身のほうの水分が抜けすぎてパサっとしてしまったり、逆に皮のほうに水分が残りすぎてしまいます。そこで、身の面には衣を付ける直前に粉をまぶす。そうすると、揚げたときの両面のバランスがちょうどよくなるんです」

看板メニューの一つ「穴子の天ぷら」。絶妙な揚げ加減で、
看板メニューの一つ「穴子の天ぷら」。絶妙な揚げ加減で、"ほわっ"とした穴子の食感を引き出しています。
平日ランチメニューの「天丼」。つゆは砂糖を使わず、出汁・醤油・みりんのみを使って後味をよくしている。
平日ランチメニューの「天丼」。つゆは砂糖を使わず、出汁・醤油・みりんのみを使って後味をよくしている。

天ぷら油は、ごま油とサラダ油をブレンド。多くの人がサッパリしたものを求める夏にはサラダ油の比率を多くするなど、気候の変化に合わせて調理方法を細かく変えることで、年間を通じて"同じ味わい"になるようにしています。

筆で描かれたお品書き。冬の旬は白子で、年内はタラ・年明けにはフグの白子になります。
筆で描かれたお品書き。冬の旬は白子で、年内はタラ・年明けにはフグの白子になります。

茅場町店の特徴とも言えるのが、厨房を囲うように設けられた8席のカウンター。早乙女さんは「人前に立つのは柄じゃない。緊張するんです」と話しながらも、「でも、天ぷらは揚げ立てが一番おいしい。だからお客さまの目の前で揚げているんです」と続けます。

路地裏という点では、決してよい立地とは言えない「みかわ」。いくつか候補はあったものの、「地に足の付いた仕事を」との思いから、1階の店舗にこだわり、今のお店になったそうです。しかし、その思いこそが多くの人々の舌を唸(うな)らせ、茅場町に根を張り続けるお店にさせたのです。

「てんぷら みかわ 茅場町店」

【住所】
東京都中央区茅場町3-4-7

【電話番号】
03-3664-9843
※ランチの時間帯は電話がつながりにくいため、予約はランチ~ディナー間のお電話か、同店ホームページの予約欄から

【開館時間】
<ランチ>
平日・土曜 11:30~13:30
日曜・祝日 12:00~13:30
※材料がなくなり次第終了
<ディナー>
平日・土曜 17:00~21:30
日曜・祝日 17:00~21:00
※要予約。定食5600円~、おまかせコース1万円~

【定休日】
水曜日

【ホームページ】
http://kayabacho-mikawa.jimdo.com

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。