食で味わう映画の世界
かぼちゃのポタージュ「しあわせのパン」より
Vol.24 / 2013, 10
パンの皮を割る「パリッ」という音とふわりと上がる蒸気がやさしくて、あたたかい。
洞爺湖を見下ろす丘の上。東京から移住してきた夫婦(原田知世、大泉洋)が経営する、パンカフェ「マーニ」を舞台に描かれる春夏秋冬の物語です。夫の水縞(みずしま)君が石窯で焼く素朴なパンと、妻のりえさんが淹れるコーヒーと料理が、訪れる人々の心を癒します。
お互いを「りえさん」「水縞君」と呼び、どこか距離があるようにみえる二人。りえさんはときおりさびしげな表情を見せますが、水縞君は寡黙に見守っています。その様子に、北海道の四季折々の自然の中で、二人の深い絆がだんだん見えてくるのです。水縞君が「好きな人と好きな場所で好きなことをする喜び」を語るシーンは、素直に共感できます。
そんな「マーニ」には、さまざまなお客様が訪れます。沖縄旅行をすっぽかされて傷心のカオリ、北海道から出られないトキオ、想い出の土地を再訪した老夫婦など。そして、そんなお客様の一人が口をきかない小学生の未久ちゃんです。
パパとの喧嘩が原因でママが家を出て行って以来、未久ちゃんは大好物のカボチャのポタージュも、「ママを思い出すから」と食べようとせず、パパにも心を閉ざしたまま。そんな彼女を心配した水縞夫妻は、未久ちゃんとパパをカボチャのポタージュとパンでおもてなしすることに。同じテーブルに並び、ポタージュを食べて一つのパンを分け合う。二人は徐々に心を開いていきます。作中に何度も出てくる一つのパンを分け合うシーンは、「家族や仲間と幸せを分かち合う喜び」を表しています。一見何でもないように思える日常の中にこそ、幸せはあるのかもしれません。
さあ、かぼちゃのポタージュを作りましょう。カボチャは皮が固いので、包丁が入らないこともありますから、少しレンジにかけて扱いやすくしました。またコクを出すため、今回のレシピではネギを使いましたが、玉ねぎ半個を薄切りにしても同様に作ることができます。ネギや玉ねぎの甘味と栄養がプラスされて、これからの寒い季節に打ち勝つ頼もしい一品になりますね。
レシピ「かぼちゃのポタージュ」
3人分
調理時間 40分
かぼちゃ | 400g(種、皮つき) |
長ネギ | 2/3本 (白いところ) |
バター | 30g |
水 | 300cc |
コンソメ顆粒 | 小さじ1 |
牛乳 | 300cc |
塩 | 小さじ1/3 |
コショウ | 少々 |
[作り方]
1.かぼちゃは種を取りレンジに2分ほどかけてやわらかくする。飾り用に少量を取り置き、残りは皮をむいて一口大に切っておく。
2.長ネギは斜め切りにする。
3. 鍋を中火にかけてバター半量を溶かし、長ネギを炒める。
4. そこにかぼちゃを加えて炒め合わせる。水とコンソメを入れて沸騰したら、弱火にしてかぼちゃが柔らかくなるまで約20分煮る。
5.ミキサーにかけてなめらかにする。
6.再び火にかけて温めたら牛乳を入れ、塩、コショウで味付けする。コンソメに塩分がある場合もあるので、味見をしながら行う。仕上げに残りのバターを入れてなめらかになったら、温めておいた皿に入れて、飾り用のかぼちゃを散らして出来上がり。
DVD情報
『しあわせのパン』
・発売日:発売中
・発売元:アスミック、オフィスキュー
・販売元:アミューズソフト
・価格:¥6,090(税込)
©2011「しあわせのパン」製作委員会
監督:三島有紀子
出演:原田知世/大泉洋/森カンナ/平岡祐太/光石研/八木優希 他
わけあうたびにわかりあえる気がする
『二流小説家 シリアリスト』の三島有紀子監督が、北海道・洞爺湖のほとりの小さな町・月浦を舞台に、パンカフェを営む夫婦と店を訪れる人々の人生を四季の移ろいとともに描いたハートウォーミングストーリー。『東京オアシス』の原田知世と『探偵はBARにいる』の大泉洋が主演を務め、パンカフェを営む夫婦を演じている。その店を訪れる客を『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』の森カンナ、『人生、いろどり』の平岡祐太、『はじまりのみち』の光石研などが演じている。
東京から北海道の月浦に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ・マーニを始めた夫婦、りえさん(原田知世)と水縞くん(大泉洋)。水縞くんがパンを焼き、りえさんがそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そんなマーニには、毎日いろんなお客さまがやってくる。北海道から出られない青年、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家、口をきかない少女とその父親、観察好きの羊に、想い出の地に再びやってきた老夫婦。それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた、心の中の“しあわせ”とは?そして彼らを見守るりえさんと水縞くんに訪れることとは?