我が家で楽しむ 至福のコーヒータイム
Vol.23 / 2013, 09
日本のコーヒーのレベルは高い、でも...
紅茶文化=英国というイメージがありますが、コーヒー文化といった場合、思い浮かぶのはどこでしょうか。ウイーン? イタリア? 実は日本も、コーヒー文化が最も発達している国のひとつに間違いなく入っていると思います。日本はいまや輸入量、消費量ともに世界第4位のコーヒー大国です(※)。平均的にみても良質なコーヒーが輸入されていますし、サイフォンやフレンチプレス、エスプレッソ等々コーヒーの抽出方法も多様化がいちばん進んでいます。日本人の"凝り性"がそうさせているのでしょう。
※コーヒー輸入大国ランキング (2012) ①アメリカ ②ドイツ ③イタリア ④日本
コーヒー消費大国ランキング (2012) ①アメリカ ②ブラジル ③ドイツ ④日本
出典:International Coffee Organization , U.S. Department of Agriculture
さらに日本は、「缶コーヒー」という特殊なジャンルがあり、コーヒー豆の総輸入量の3分の1を占めています。ちなみに、海外では「缶コーヒー」は僅かに作られていますが、それも最近のことです。そもそもアメリカやヨーロッパにはコーヒーを冷たくして飲む習慣はありませんでした。海外で冷やしたコーヒーが売られ始めたのは、ここ10年ほどのことです。
缶コーヒーは1969年に上島珈琲によって考案された、日本独自のコーヒー文化です。いつでもどこでも安価に手に入り、日本にコーヒー習慣を広めた功績は大きかったと思います。最近では、コンビニで飲めるドリップコーヒーのレベルも相当に高い。そんな中でいままでのコーヒーに飽きたらず、さらにおいしいコーヒーを求めている人々も相当な数に達しているのではないでしょうか。
ただ、日本のコーヒーの常識のなかで、私から見て残念なことがひとつあります。それは、コーヒーの品質を語るとき、「焙煎」という部分に偏りすぎているということです。
日本では、だれも産地の様子がよく見えていないから、コーヒーを「焙煎技術」や「職人技」で語り、コーヒーが工業製品であるかのように扱われてしまっていること、私はそこを少しずつ変えていきたいと思っています。
品質のよい豆ならではの、真のおいしさを知らせたい
確かに、焙煎によって味は大きく変わります。なので、あまり品質のよくない豆ほど深煎りにして、ごまかすことができてしまいます。
コーヒー豆に由来する柔らかな酸味やアロマ、複雑なフレーバー......中煎り〜浅煎りでこそおいしさが引き立つコーヒーが、本当に品質のよい豆であるということができます。コーヒーの味を決めるのは何かと聞かれたら、「原料(豆の品質)が8割、その分母を広げていくのが焙煎と抽出です。」と、いつも私は答えています。豆の品質は、地域や土壌、品種だけでなく、栽培方法、豆の選別、精選から輸送、保管まで徹底的な品質管理によって完成されるものです。
コーヒーは、ワインに匹敵する世界有数の農産物です。生産ロットが小さいために大手メーカーの取り扱いに乗らないけれど、良質な豆を実直に生産している農園が世界中にたくさんあります。私はそのような誠実な生産者と日本のお客様を結び、いままで紹介されたことのないコーヒーをこれからも発掘していきます。ぜひそんな「テロワールのあるコーヒー」を、ご自宅で味わってみてください。
■ 取材協力/ミカフェート元麻布店
ヨーロピアン・ラテンの落ち着いたインテリアの中で、川島氏がプロデュースした最高品質のコーヒー「グラン クリュ カフェ」の全商品を味わえるカフェ。ヴェネズエラ産のショコラを使用したジャン=ポール・エヴァンのケーキ「ガトーテールデュスード」(700円)とのマリアージュを楽しみたい。 店内には会員制のコーヒーセラー(低温貯蔵庫)があり、「グラン クリュ カフェ」の中からお気に入りの生豆を保管しておき、電話すると焙煎して自宅に届けてくれる会員向けサービスも行っている。
【DATA】
港区元麻布3 - 1 - 35 c-MA3 1F
TEL 03 - 5771 - 4171
営業時間 11:00~19:00、定休日なし
ホームページ http://www.mi-cafeto.com/
5名様
コーヒーハンターズ「カフェ プエンテ」
ギフトセットを5名様に
川島氏が各地で出会った珍しい品種や、独自の栽培方法や加工にこだわって品質をあげる努力をしている生産者のコーヒーが入ったギフトセットをプレゼント。
15銘柄を1杯ずつ気軽にお楽しみいただけるドリップバッグにして詰め合わせました(15種×2個ずつの計30個入りギフトボックス)。気分に合わせて選びながら、好みの味わいを見つけてください。
※プレゼントのご応募は終了致しました。 たくさんのご応募ありがとうございました。