ココジカ

サンウッドより、暮らしを豊かにするウェブマガジンをお届けします。

Produced bySunwood

パンのあるステキな暮らし
麻布十番~白金エリアのブーランジェリー

Vol.17 / 2013, 03

素敵な住宅街には、街角にステキなパン屋さんがあるもの。早起きして、ジョギングがてらお気に入りの店を訪れ、焼きたてパンで朝食をとるのは格別ですね。そんなおいしいパンのある暮らしが似合う、麻布十番から白金高輪にかけてのエリア。小麦や酵母にこだわるナチュラル系のお店、本場の味を求める諸外国のパンから昔懐かし昭和の香るパン屋さんまで、こだわりのある街で人気のパンを食べ比べてみました!

SUNWOOD CLUB MAIL MAGAZINE Vol.17

麻布十番~白金エリアのパン食べ歩きマップ

マップをご覧いただく通り、麻布十番界隈には自家製パンを販売しているお店がこんなにたくさん!
サンドイッチが食べられるカフェなどを加えるともっと多くなり、「グルメなパンの激戦区」と言えそうです。
大使館が多い土地柄のため世界中のパンが買えますが、お店をまわって人気ランキング上位のパンを調べてみると、意外とオーソドックスな「カレーパン」や「チョココロネ」などがよく売れていたりします。気取らない、気さくな雰囲気も伝わってきますね。
では、各店の売れ筋商品を紹介しましょう。

モンタボー(mont-thabor)麻布十番本店

1977年に麻布十番で創業し、いまや全国で70店舗以上のブランドに。菓子パン初のモンドセクションを2012年度に受賞した「究極の北海道牛乳パン」は、芸能人、文化人にもファンの多い看板商品です。

究極の北海道牛乳パン 367円

究極の北海道牛乳パン 367円
1996年発売のロングセラー。しっとりふわふわの生地をちぎると、甘すぎないミルクの香りがふわり。子どもから大人まで夢中なのもうなずけます。

モンタボー(mont-thabor)麻布十番本店

港区麻布十番2-3-3
TEL 03-3455-7296
8:30~21:00 無休
http://mont-thabor.jp/

ポワンタージュ(pointage)

ポワンタージュとは「一次発酵」という意味。最近、ベーカリーと惣菜店とビストロを兼ねているショップが増えましたが、2002年にオープンしたここはその走りのひとつ。本格的なハード系からデニッシュ、惣菜パンまで揃ったお店です。

焼き野菜のフォカッチャ 315円

焼き野菜のフォカッチャ 315円

ゴルゴンゾーラとはちみつのスコーン 280円

ゴルゴンゾーラとはちみつのスコーン 280円

ワインのお供に合う食事パンやサラダがテイクアウトできるので、そのままピクニックに出かけたくなります。

ポワンタージュ(pointage)

港区麻布十番3-3-10
TEL 03-5445-4707
10:00~23:00、月・第3火定休
http://www.pointage.jp/

ハドソンマーケットベイカーズ(Hudson Market Bakers)

2012年9月にオープンしたNYスタイルのベーカリー。いかにもアメリカらしい甘めのマフィンや自家製のグラノーラが充実しています。オーナーのおおつぼほまれさんは、料理教室やケータリングなども行っています。

ホームメイド・グラノーラ(パイナップル・マカデミア)450g 1360円

ホームメイド・グラノーラ(パイナップル・マカデミア)
450g 1360円
2階のキッチンで手作りされているグラノーラ。オートミール、小麦胚芽、ドライフルーツ、ココナッツ、レーズンなどをたっぷりブレンドしたシリアルも、朝食ブームに乗るでしょうか?

ハドソンマーケットベイカーズ(Hudson Market Bakers)

港区麻布十番1-8-6
TEL 03-5545-5458
11:00~20:00(土日祝~19:00) 月定休
http://www.facebook.com/pages/Hudson-Market-Bakers/325738520844106

マルイチベーグル

代々木上原から白金高輪に移転して4年の手作りベーグルショップ。お店独自で吟味した、毎日食べ続けられる素材にこだわって作っています。住宅街のなかにあり看板も出ていないので、見落とさないようにご注意を。

ベーグルサンドイッチ(ツナサラダ+ドライトマトクリームチーズ) 880円

ベーグルサンドイッチ(ツナサラダ+ドライトマトクリームチーズ) 880円 
オニオン、セサミ、シナモン味など大ぶりなベーグル(220円〜)は、もっちりしていておいしい。ベーグルの種類と具材を自由に組み合わせて好みのサンドイッチを作ってくれます。

マルイチベーグル

港区白金1-15-22
(電話番号非公開)
ベーグルの販売は7:00~18 : 00
(サンドイッチは休日9:00~、平日10:00~)
月・火定休
http://www.maruichibagel.com/

デビッドデリ(DAVID`S DELI)

イスラエル仕込みの本格ベーグルやピタパンのサンドイッチ、ブレカスと呼ばれる食事パイなど、イスラエルや地中海ヨーロッパのベーカリーが買えます。NYデリ風の店構えで、外国人が好んで食事にやってきます。

ホウレンソウ入り 280円

ホウレンソウ入りブレカス 280円

マッシュルーム入り 280円

マッシュルーム入りブレカス 280円

ブレカスとはチーズ、ポテト、ホウレンソウなどの具材をパイ生地で包んで焼いたイスラエルのベーカリー。チーズやゴマが利いて程良くスパイシー。

デビッドデリ(DAVID`S DELI)

港区三田5-13-13
TEL 03-5441-1211
11:00~22:00 不定休
http://www.davidsdeli.co.jp/

サンモリッツ名花堂

手作りの総菜パンや菓子パンが豊富に並ぶ、麻布十番商店街の老舗パン屋さん。ラップに包まれたたまごサンドやかつサンド、焼きそばパンといった懐かしい昭和のパンを食べたくなったらこちらへ。

きゅうりサンドイッチ 210円

きゅうりサンドイッチ 210円

焼きそばパン 220円

焼きそばパン 220円

ソフトでしっとりとした甘めのパンと、具材の塩味とのコントラストが絶妙。これぞ正しい"ニッポンの総菜パン"という気がします。

サンモリッツ名花堂

港区元麻布3-11-6
TEL 03-3408-6381
6:30~20:30 月、第2・第4木 定休

メゾンカイザー高輪本店

シンプルで脂肪分がないフランスのハードパンの魅力を、日本に広めたメゾンカイザー・ジャパン社長の木村周一郎氏は、「パン屋は朝から夜まで店を開け、街の人たちになくてはならない存在、街の一部となってこそ。それがあるべき姿です」と語っています。高輪本店はそんな木村氏の原点を伝えています。

クロワッサン189円

クロワッサン 189円
パリのフィガロ紙で最高ランクと称されたクロワッサンも美味ですが、やはりメゾンカイザーらしいハード系のパンがおすすめ。

エメック326円

エクメック 326円
エクメックは生地にはちみつを練り込んだトルコのパン。ほんのりとしたはちみつと小麦粉の風味を味わえる食事パンです。

メゾンカイザー高輪本店

港区高輪1-4-21
TEL 03-5420-9683
8:00~20:00 年始のみ休
http://www.maisonkayser.co.jp/

しろかねPanPan堂

クリームパンやあんぱん、デニッシュといった、庶民的でありながら上質なソフト系のパンが充実したパン屋さん。親しみやすく、いつまでも食べ飽きない味にファンが多く、ランチタイムは小さなお店がたいへん混み合います。

ラウンド食パン(サツマイモ入り) 560円

ラウンド食パン(サツマイモ入り) 560円

お店の看板メニューのひとつ、円筒型の食パン

円筒型の食パン

お店の看板メニューのひとつ、円筒型の食パン。通常よりも水分を多く含ませた生地を焼き上げているため、もはや食パンとは言えないほどしっとり、フワフワな食感。写真は、生地の中にサイコロ状のサツマイモが入っていますが、他にチョコやチーズ入りも選べます。

しろかねPanPan堂

港区白金1-28-3多田ビル1F
TEL 03-3440-6701
10:00~20:00 土日祝定休

コラム

兵糧として普及したパン

ムギ食文化の起源は西アジアのメソポタミア文明とされています。麦の実を砕いてお粥として食べていましたが、やがてお粥のおこげから「焼く」という調理法が発想され、パンの起源になりました。最初は小麦粉に水を混ぜて、生地を平たくのばして焼いた無発酵のパンでした。
生地に偶然ついた酵母菌によって"発酵パン"が誕生したのは、古代エジプト時代。その後エジプトを征服した古代ギリシア、そのギリシアを支配したローマ帝国へと技術は伝わりました。
持ち運びやすく、日持ちがする"発酵パン"はローマの遠征隊の携帯食として重宝され、ローマ帝国の勢力拡大に貢献したといわれています。
中世になってからは、「パンはイエスの肉である」とされ、キリスト教の庇護のもとワインやコーヒーなどと共に、ヨーロッパ各国の風土に合わせて多様化していきました。

日本においては、ポルトガル人が織田信長に発酵パンを紹介したものの、鎖国政策の下では長崎の出島から出ることはありませんでした。日本人のためにパンが焼かれるようになったのは、幕末期とされています。中国でアヘン戦争が始まり、イギリス軍が日本まで攻め込んでくる事態に備えて軍備増強を命じられた軍学者・江川太郎左衛門が、軽く持ち運びしやすいパンを兵糧にすることを考えました。...この展開はまるで古代ローマと同じですね。1842年4月12日、初めての兵糧パンが焼かれた日にちなんで、毎月12日は「パンの日」とされています。

米食の中で花開いた日本独自のパン文化

横浜や神戸の開港ととともに、いよいよパンが生活の中に入ってきます。文英堂(現在の木村屋総本店)」が考案したあんパン、ジャムパンに始まり、新宿中村屋のクリームパン、大正時代に誕生した名花堂(現在の森下カトレア)のカレーパンなどは、今なお愛され続ける日本オリジナルのパンといえるでしょう。
日本人がソフトでもちもちとした食感のパンを好む傾向は、やはりパンと米食文化が融合したからかもしれません。150年余と短い日本のパンの歴史ですが、その発展と多彩ぶりは世界にひけをとりません。そして今日、麻布十番の舌の肥えた住人たちに選ばれたパンたちは、また新しい歴史をつくっていくことでしょう。

※この記事は2013年3月15日時点での取材による情報です。価格や営業時間などは変わることがありますのでご了承ください。

※掲載の情報は発行月時点の情報であり、現在とは異なる可能性があります。