夏にそなえて心も体にキレイになる。「おいしい水」入門
Vol.7 / 2012, 05
水をおいしく飲んでいますか?ミネラルウォーターや炭酸水、家庭用のウォーターサーバーなど、今や多種多様な水が手に入ります。レストランやスポーツクラブなど、状況に合わせてさまざまなミネラルウォーターを口にするようになって、あらためて水の効能にめざめる人が増えているのではないでしょうか? 夏が来る前に知っておきたい「水」の種類や上手な選び方について、西麻布にあるミネラルウォーター専門店、アクアストアを訪ね、アクアマエストロの資格を持つ鈴木ルリ子さんにお話を伺いました。
ミネラルウォーターって何種類くらいあるの?
世界でミネラルウォーターとして販売されているものは3500〜6000銘柄にものぼるといわれていますが、はっきりとわかりません。
ヨーロッパでは、昔から食事の時や健康のために水を飲むという習慣があったため、多くの種類の水が販売されてきました。日本での歴史は意外と新しく、1983年に発売された「六甲の水」が家庭用ミネラルウォーターの先駆けですが、今や日本産も400〜500銘柄があるといわれています。
選び方の基本。軟水と硬水のちがいとは?
水に含まれるさまざまなミネラル成分のうち、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの濃度によって「軟水」と「硬水」に分けられます。
軟水は、味にクセがなくまろやかで、お茶や料理など素材本来の味を損なわないのが特徴です。一方硬水は、身体のミネラル補給に適していますが、味にクセがあり、マグネシウムが多いと苦みを感じます。また体質によってはマグネシウムが多いとお腹をこわす場合があります。
<参考>軟水と硬水の区分(理化学辞典の基準による)
軟水=0~178mg/l未満
硬水=357mg/l以上
(その中間の178mg/l以上~357mg/l未満は、中硬水と呼ばれます)
例)ボルヴィック60mg/l エビアン304mg/l
日本の水はほとんどが軟水なので硬度の表示がない場合もありますが、輸入されている水には大半のもので表示されています。選ぶときの参考にするとよいでしょう。
軟水
- ミネラルが少ないので味にクセがなく
飲みやすい - 素材の味を損なわない
- お茶やコーヒーなどの飲料用に適している
- マグネシウムが少ないので乳幼児の粉ミルクを作るのに適している
硬水
- ミネラル補給に適している
- マグネシウムが多いと苦味が強く
味にクセがある - マグネシウムが多すぎると胃腸障害を起こす場合がある
- 石鹸の脂肪酸とマグネシウムが結合すると泡立ちにくくなる
※アクアストアHPより転載
また、その他に含まれている微量な成分にも注目したいところです。肌の保湿や髪、爪、骨の健康維持を手助けするといわれる「シリカ」や、鎮静・鎮痛作用をもつ「サリシン」など、美容によい成分が含まれていることから、セレブに愛飲されているミネラルウォーターがいろいろあります。 「痩せたい!」「お肌がキレイになりたい!」「爽快な気分になりたい!」など、用途に合わせて、自分好みの水を見つけてみてはいかがでしょうか?
Q. 世界最初のミネラルウォーターとは?
A. フランスの鉱泉水CONTREX(コントレックス)。硬度1468mg/lという超硬水で、医師の指導のもとで王侯貴族のダイエット・プログラムに使われた水です。
いま注目されている炭酸水の効用とは?
最近は、炭酸ガス入り(スパークリング・ウォーター)にも人気が集まり、日本でも1ジャンルとして確立してきました。 炭酸には整腸作用があるといわれており、胃の中に炭酸が入ると胃腸の動きが活発になり、便秘の改善などに効果があるといわれています。カロリーゼロの炭酸水を食前に飲めば、満腹感が早く訪れ、ダイエット効果も期待できます。
また、疲労回復や血行促進によいとする研究報告もあるようです。炭酸には血管を広げる作用があります。このため血行が良くなり、筋肉の疲労物質である乳酸を積極的に体外に排出し、疲労回復を促進させてくれるといわれています。
Q. 天然の炭酸水と人工的な炭酸水とでは違いがあるの?
A. 天然と人工、微炭酸と強炭酸での、効果の違いは特にないようです。だから家庭で炭酸水が作れる「ソーダサイフォン」を使ってもOK。炭酸の強さを好みで作ることができるので便利です。
夏のからだがよろこぶ水分補給のポイント
大いに汗をかく夏は、こまめな水分補給がとても大切。でも「お茶やコーヒーで十分摂っているから私は大丈夫」と思っている人も多いのではないでしょうか?実はお茶やコーヒーは利尿作用があるため、すぐ体外に排出されやすいのです。ピュアな水のままで摂取する習慣をつければ、体調にうれしい変化が起こるかもしれませんよ。
上手な摂取のポイント:
1)キンキンに冷やしすぎない
市販のミネラルウォーターに氷を入れて飲むのはNG。せっかくの成分バランスが変わってしまいますし、臓器を冷やすと機能が衰え、逆効果です。
適温は12〜14度が理想ですが、家庭用冷蔵庫では冷えすぎてしまう場合も。せめて冷蔵庫では冷蔵庫のドアポケットや野菜室にいれる等、工夫してみましょう。
2)喉が渇いたと感じる前に飲む
定期的な摂取が習慣になるまで、少し頑張って飲みましょう。たとえば2時間おきに150〜200mlずつ、ゆっくりと飲むことが効果的です。
ただし、スポーツ時は約15分に1回。体が熱くなっているので、平常時より冷たくして飲んでも大丈夫です。
補給のタイミング
(1)のどの渇きを感じる前(2)空腹時(3)就寝前と寝起き(4)汗をかくまえ(5)ゆっくりと飲む(6)冷たい水を飲まない
日常生活 | 運動時 | |
---|---|---|
回数 | 1日に6~7回程度 ※就寝の前後は必ず水分補給 |
約15分に1回 |
分量 | 約200ml | 約200ml |
温度 | 冷たすぎない温度 | 6~13℃ |
※アクアストアHPより転載
Q. ミネラルウォーターの基準ってあるの?
A. ミネラルウォーターの分類や品名表示の方法は、世界各国によって考え方が違います。 日本では現在のところラベル表示にある「品名」または「名称」は、1990年の品質表示ガイドラインに基づいて分類されています。
<日本の場合(農林水産省の品質表示ガイドライン)>
分類 | ナチュラルウォーター | ミネラルウォーター | ボトルドウォーター | |
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品類 | ナチュラルウォーター | ナチュラルミネラルウォーター | ミネラルウォーター | ボトルドウォーター |
原水 | 特定水源から採水された地下水 | 特定水源から採水された地下水でミネラル成分が溶け込んだ水 | 複数の水源より採水された地下水で、ミネラルが溶け込んだもの | 飲用できる水(水道水も含む) |
処理 方法 |
ろ過、沈殿、加熱殺菌以外の処理をしない | ろ過、沈殿、加熱殺菌、または、原水の混合、ミネラル分の調整、ばっ気(空気を溶け込ませること)などの処理をしたもの | 規定なし(ボトルに詰めてあればよい)ただし、食品衛生法にもとづく殺菌が必要 |
※アクアストアHPより転載
ちなみに食品衛生法上の分類は、商品化されている水はすべて「清涼飲料水」に含まれます。