地下には納骨堂があり、画家のミレーやナポレオン戦争で活躍したネルソン提督など、教科書に出てくるような偉人のお墓がずらりと並びます。ちなみに、その横にはカフェや売店が設けられています。この建物には以前「口笛を吹きながら、チャペル内をさまよう幽霊」の噂が立ったこともあり、お墓の横というと、ついつい臆してしまいそうなものですが、意外（？）にも現地の人々で賑わっています。

当時は木造の教会だったセントポール大聖堂が、初めてこの地に建てられたのは604年。しかし、1666年に起きた「ロンドン大火」によって町は火の海に......。セントポール大聖堂も、その例外ではありませんでした。現存する建物は、バロック建築をイギリスに取り入れた人物とされている、建築家のクリストファー・レンが設計。35年もの月日をかけて、1710年に完成したものです。古典的なバロック様式を取り入れた大聖堂は、それまでのイギリス建築に存在するものとは全く異なるとされており、同氏の革新性が謳（うた）われる由縁となりました。

同時に、セントポール大聖堂は「ロンドン大火」からの復興のシンボルとして、住民に認知され始めます。さらに、再建した大聖堂は、第一次・第二次世界大戦の戦火による焼失を奇跡的に免れたことで、市民の希望の象徴として親しまれるようになりました。